ミーツ・ガール:朝香式著のレビューです。
感想・あらすじ
肉に食らいつく強烈な個性を放つ女が登場!!
(本が好き!の献本書評)
「マンガ肉と僕」の改題だそうです。そうとは知らず、「朝香式さんの作品は絶対読みたい!」と、鼻息荒く献本に申し込んでしまいました。
実は「マンガ肉と僕」は既読。とても面白かったという印象があったわりに、内容をごっそり忘れていたものだから、読み始めたら「初読みか?」と思ったほど、またまた楽しめてしまったと言う始末。本当にすみません。
大学一年生のワタベ。
巨体で激臭のする熊堀サトミが隣に座って来たのが運のツキ。彼は彼女にロックオンされ、その後、自分のアパートに居座られてしまう。
冒頭からかなり強烈な登場人物にドギマギさせられる。しかも、彼女の好物はコンビニで売っているホットスナックの「マンガ肉」。その肉をワタベは日夜買いに走らされる。そう、パシリです。
3か月後に彼女をどうにか家から追い出せたワタべ。その後、バイト先の女性と恋愛したりしながら普通の生活に戻り、社会人へと。
小説の雰囲気ががらりと変わる10年後。熊堀サトミが再び登場する。
あの太々しく醜かった彼女が28㎏も減量し、別人のようになってワタベと再会する。サトミはバーの店長をしている。一体、あの頃のサトミはなんだったのか?彼女の語る意外な過去とは?
さらに後半は、店の客、アルパカ似の男から広がる人間模様が中心となっていく。
こう書くとなんてことない小説に見えるかもしれない。現に普通の人々の生活を淡々と描いているにすぎないのだけれども、なんというか、どの登場人物もどこか歪んでいたり、ちょっとしたトラウマを抱えていたり、複雑な家庭事情があったりと、なかなか目が離せない人々ばかり。地味だけどそれぞれの個性がちょっと病みつきになる面白さがあるのです。
初読みの時は、とにかく肉やスナック菓子をガンガン食べまくり、風呂にも入らず
周囲に臭いを漂わせていたサトミの圧倒的な存在と生命力に釘付けだった。肉食なサトミと、草食っぽいワタベの対比が面白く感じていたけれど、今回はそのあたりを落ち着いて読めたというのもあり、アルパカさん繋がりの人間模様や恋愛関係等のじわじわ来る会話を堪能。
会話のテンポ、キャラ設定の面白さ。どこにでもありそう、でもちょっと強烈。そして、みんな必死。そんな滑稽で楽しい小説ですが、時たますごく深い言葉が出てきたり、しんみりさせられる場面もある。
「正解のない関係性の物語」と言われているが、まさにまさに!です。
・・・というか、初回は2014年に読んだのですが、あれから5年。あっという間だったけれども、これほどまでに再読小説を新鮮に読めてしまった自分の記憶力のなさに落ち込む(笑)
ところでなんで改題したのかな?「マンガ肉と僕」の方がしっくりきていると思うのだけどなぁ・・・・。にしても、R-18文学賞は面白い作品が多い。朝香式さんもこれからが楽しみ!
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