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【レビュー】あの家に暮らす四人の女:三浦しをん

 あの家に暮らす四人の女:三浦しをん著のレビューです。

あの家に暮らす四人の女

あの家に暮らす四人の女

 

 

河童あり、カラスの語り部あり、ロマンスあり、友情あり

 

谷崎潤一郎メモリアル特別小説作品。ざんねんな女たちの、現代版『細雪』。

 

結論から言うと「細雪」を知らなくたって、これはこれで独立したひとつの小説として十分楽しめました。

 

各対談でしをんさんの面白さに釘づけになった私。小説ではその面白い部分がどのような形になって表現されているのか、大変興味があった。

 

他の小説はどうなのかは知りませんが、この小説ではその片鱗が、会話なり心の叫びなり女性の生活態度等々によく表れていたんじゃないかと思う。特にイラッとした時に出る黒い感情表現が良いですね!何度も「ぷすっ」と鼻を鳴らしてしまう箇所があり、
なかなか気が抜けない状況が。

 

内容は女4人で古いお屋敷で生活を共にするという話。
構成はこの家の主の母と娘、そして、娘の友だち2人。今流行りのシェアハウスとかいうものより、もっと古風な居候生活とでも言おうか。

 

日常を描いたものなので、退屈になりがちな設定ではあるものの、古くから敷地内に住む老人や、ストーカー男の存在。開かずの間から出て来た干からびた河童や、カラスの語り部、家の修繕にやって来た業者のイケメン男性へのトキメキ等々、なんらかのユニークなイベントが潜んでいて、いろいろな角度から読者を愉しませてくれます。

 

父親のことをほとんど知らずして育った娘の佐知。
浮世離れした母親と、語られることのなかった謎の父親。
そして家族のようにずっと離れに住んでいる田中さん。

最初は謎が多かったけれど、徐々にその扉を開いてゆき、河童の存在までもが、無駄なく描かれている。

 

 

 

女系もの小説が好きで読んでしまうことが多いのだが、本作は、母娘の生活に友だちが加わったことにより、身内で起こりそうな変なドロドロ感や争いがないのが良かった。
父親の存在も湿っぽくならず、キュートな印象すら残すのもウマイ!なぁーと。

 

また、アラフォー独身女性たちの描写が秀逸。水着の件なんかは、ありがちだよなぁ・・・。将来への漠然とした不安や、心の拠り所である「友情」も、いい感じで描かれ、読後感も良い。

 

古風な雰囲気の設定ではあるものの、登場人物たちがリアルな「今」を運んでくるというあたりもなかなか楽しい。(私なんか新宿伊勢丹が10時半開店というのをはじめて知った)

 

女たちだけの生活って絵になるというか、食事や調理のシーンひとつとっても、なんだかいいなーと感じる。一般の家族の風景とはひと味違う穏やかさと賑やかさがこちらにも伝わってくる。これが男性4人暮らしってなると・・・ねぇ(笑)
いずれも「女性臭」濃い内容です。

 

図書館待ちの長い作家さんということで、なかなか話題の作品も読まずに来ましたが、
今回は谷崎効果もあり、速い動きが出来ました。読めて良かったです。

 

 

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