光まで5分:桜木紫乃著のレビューです。
桜木作品に珍しいなんと、舞台は沖縄!
北海道から沖縄にやってきたツキヨは桜木さんの分身?
まるでツキヨと一緒に北海道から飛び出したかのように、舞台が沖縄ということにまずビックリ(笑)しかし、沖縄でも場末感は変わらず思わずニヤリ。
那覇の路地裏で体を売るツキヨ。
ツキヨは歯の治療を兼ね、訪れた所で知り合ったヒロキと万次郎と一緒に生活を始めることになった。なにもかもが流れるように作られていく人間関係が、ゆるゆるして心地よい反面、たまに出てくる暴力の痛々しい場面に凍り付く。
登場人物たちの抱えているものや、沖縄という土地を活かしたユタのおばあの登場などから、ちょっと吉本ばななさんの作品の雰囲気に近いものを感じないでもない。
でもね、なんとなく、ずっとゾワソワしているような読み心地だった。
どうも地に足が着いてない感覚で、早く着地点が欲しくなったのはなんだろう。
桜木さんご自身は書きながらどう感じていらしたのだろうか?
もしかしたら、はやく北海道のホームに戻りたくてうずうずしていたのではないだろうか?そんな落ち着かない感じがしたように思える異作品だったように思えます。
刹那的というか、つかめそうでつかめない、なんとも言えない作品でした。