小鳥来る日 :平松洋子著のレビューです。
平松さんのエッセイを読むと、途端に日常が楽しく思えてくる
日常生活から抜き取るアレコレが、平松さんにかかると、本当に面白く感じるのは相変わらずです。
うひゃひゃ!と思わず声が出たのが「靴下を食べる靴」。
これ、経験がないとなんのことやらって感じでしょうが、あるんですよね。靴下を食べてしまう靴って!歩いていると、かかとの方から、少しずつ少しずつ靴下が脱がされるというアレです。気づいたら素足がのこるばかり。
そして、平松さんが言う通り、すべての「すべての靴下が好物というわけじゃない」という点も、大きく共感!そうそう、あの違いは一体何なのだろうと。
この話、最終的には身につけるものとの相性の良し悪しがあるということにまとまるのだけど、こういう些細な出来事でも、本人とっては不可解なことって日常多かったりしますよね。そこを見逃さず、「靴下を食べる靴」という見事なタイトルを付け、読者を引き付けるあたりが、やはりプロだなぁーと思うのであります。
とにかくアンテナの感度もすごく良い方なのでしょうねぇ。どこへ行っても、人々のちょっと面白会話もキャッチし、見逃さないという。そして、感じたことを、平松さんらしいキリッとした言葉とテンポをもって表現されるあたりが読者をヤミツキにさせちゃうんだな。
平松さんのエッセイを読むと、途端に日常が楽しく思えてくる。
エッセイはこうでなきゃって、シンプルなことに気がつきました。
本書内の面白かったエッセイはこれ!
・玉子屋のおばあさん
・フライパン人生、やり直し
・レース編みのすきま
・月曜の朝の煩悩
・日曜の朝はパンケーキ
・ひよこの隊列、ごきげんさん
・モンゴルの草原の奇跡
※本書は、毎日新聞の日曜版に掲載されていたそうです。