夏の魔法: ジーンバーズオール著のレビューです。
感想・あらすじ 4人姉妹のある夏休みの出来事を綴った物語
毎年行っていた別荘が、事情により行けなくなり、急遽、滞在先を探し、一家は普段と違う地で夏休みを過ごすことになった。
ペンダーウィック家の四姉妹とお父さん、愛犬のハウンドが向かった先は、とろけそうなバター色のコテージ。美しいお屋敷と広大な庭。姉妹たちは広いお部屋を割り当て、うっとりした気分で夏休みを開始する。
4人姉妹は、各々個性的。
長女ロザリンドはしかりもので、末っ子の面倒見のいいお姉さん。
この夏、ひそかに「恋」をする。12歳。
スカイはちょっぴり気が荒い。何か起こるとそこにスカイが!11歳。
ジェーンは物を書くことが好きな作家志望の少女。10歳。
バティは動物が大好きで、ペットのハウンドと大の仲良し。人見知りが激しい4歳。
物語を読み進めるごとに、4人の役割や性格がはっきりしてきて俄然おもしろさに拍車がかかった感じでした。
姉妹たちが過ごす3週間。はやくも初日からハプニング。お屋敷に住むジェフリー少年との出会いをきっかけに、ジェフリーの家族とも関わり合いを持ってゆく姉妹たち。
素晴らしいお庭で楽しく・・・と思いきや、ジェフリーの母親であるお屋敷の主・ミセス・ティンフトンともめにもめるという、バタバタ劇が繰り広げられる。
そんな中でも、姉妹たちがお屋敷にバースデーディナーに招待され、おめかしする準備のシーンなどは、大人でもワクワクさせられる。
そして忘れてはならないのが、あまり登場はしないけれど、姉妹のことを静かに見守る素敵なお父さんの存在。
また、ミセス・ティンフトンと、ティンフトンのフィアンセの心無い発言の数々・・・、ジェフリーの将来・・・。
いずれここでの生活は終わってしまう。残された時間まで、彼女たちは精一杯、ここで出来ることを最後までやり尽くす。
キラキラした話の中にも、姉妹、親子、恋、反抗と成長等などもしっかり盛り込まれていて、終わるころには、子供たちの成長に頼もしさすら覚えた。
毎度のことだけれど、こういう「夏休み」ものの物語は、最後の1ページを閉じるのが本当に名残惜しくなる。魔法が解ける瞬間だ。
それでも、キラキラの夏休みを取り戻したくて、名残惜しいのを覚悟でまた本を開いてしまう。さて、次はどんな夏休みの物語に私は出合うのだろうか?