林芙美子―女のひとり旅のレビューです。
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感想:元祖バックパッカー・林芙美子と旅
「放浪記」で有名な林芙美子の人生とともにあった旅の足跡を写真とともに辿って行くという内容です。
作家の角田さんが「この人は元祖バックパッカー」と言っているように、国内だけに留まらず、海外へも列車や船を使って足を伸ばしています。
今のように情報もあまりない中、女性の一人旅はさぞかし大変だっただろう…と思いましたが、これを読む限りでは、本当に自由に旅を楽しんでいたように見えます。
旅先の風景写真がたくさん出てきます。
どれこれも、芙美子が旅しながら見たものを疑似体験しているかのように思えて来ます。現在の写真なんですけどね。
登場する場所は、門司、尾道、東京、パリ、北海道、北京屋久島、そして落合。 現在でも人気のあるところばかりです。
旅とは別に自宅を紹介している「風の吹き抜ける家」も良かったです。
放浪生活の長かった彼女がこだわって建てた家は素敵です。
最後の章に彼女が亡くなった時に葬儀委員長をした川端康成の挨拶の内容を読んで、結構はっきり言うのねって、クスリと笑ってしまいました。
林芙美子に興味のある方は合わせて『ナニカアル』もお勧め。
恋に生き、また人付き合いの不器用さあり、ちょっと目の離せない面白みのある人物ということがよく分かります。