椿宿の辺りに:梨木 香歩著のレビューです。
「f植物園の巣穴」を読んでからの方がより理解しやすいですよ!
書き始め早々ぼやきになってしまいますが、本書を読む前に「f植物園の巣穴」を読んでおくべきだったと後悔・・・。いや、読まなくても面白いのですが、やっぱり流れがあるわけで、関連本を読み逃していたことがちょっと悔しい。梨木さんの小説はこういうケースがあるので、きっちり前作も読んでおかないとなぁ・・・と。
そんな後悔を引きづりながら最後まで読んでしまった。今読まなければまた図書館の長い列に並ばなければならないのだもの。
そしてそして、わたしもまた、この主人公と同じ肩の痛みを抱えながらの読書。○○肩という痛みを初体験中にこの本がやってきた。たまーに、主人公とこういう被り方をすることがあり、なんとも言えない不思議な気分です。
四十肩を患う主人公。(本人曰く三十肩)この話の根っこになっているのは、すべてこの痛みから発せられる。とにかく、彼の抱える痛みが強烈。治療をしていくなかで導かれるように訪れることになった「椿宿」。
痛みの元と自分のルーツを手繰り寄せていくことはどこか似ている。根本が判れば何かが変わる。そんな期待が向こう側に見えてくるような話でありました。
椿宿界隈の家族の歴史関連は、先に言った「f植物園の巣穴」からの流れがあるようです。もちろん知らなくても十分解るようにはなっていますが、自分的にはちょっとうすぼんやりしてしまっている。だから、ちゃんと理解する意味でも「f植物園の巣穴」を読む必要性を感じています。
ということで、わたし自身がこの本のルーツを探す旅に出ることになってしまったいう結末?思わぬ方向に導かれてしまったという不思議な余韻をもって読了。