現役東大生の世界一おもしろい教養講座:西岡壱誠著のレビューです。
現役東大生の世界一おもしろい教養講座 -正しく未来を見通すための「地理的思考」入門-
- 作者: 西岡壱誠
- 出版社/メーカー: 実務教育出版
- 発売日: 2019/06/10
- メディア: 単行本
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◎ 本が好き!の献本書評です。
感想
そのニュース、本当に理解している?━━多面的に物事を見ていく面白さを知る。
インフルエンザを罹ってしまった━━なんていう事態が起きると、人は原因を探りたくなる。そういえば、隣の席の人が咳してたなぁ→双方マスクもしてなかったしなぁ→あ、帰ってから、うがいも手洗いもしてなかった。と次々頭の中で過去の出来事を逆再生して、落としどころを見つけて、とりあえず落ち着く。
西岡さんの書いていることはつまりそういうことで、出来事には必ず原因があり、それが時に歴史的な大きな出来事を引き起こすものになるという事を示している。
取り上げてられている内容は、ニュースでよく耳にするものが多い。とは言え、「説明しろ」と言われたら、「実はよく解っていないんだよな~ポリポリ」ってこと、結構ありませんか?
普段流してしまっているような問題を、このような形で知ることが出来たのはありがたい。なかには若者の会話口調で当時の話し合いなどを表現。ちょっとお茶目な感じに仕上がっている昔の人々が面白く、より身近な感じがするので、難しい話もツルリと消化できる。
1 身の回りのことは、いつだって地理で説明できる
2 世界経済のしくみの黒幕は、いつだって地理だった
3 国際社会のイザコザは、いつだって地理から始まる
4 世界の歴史は、いつだって地理から生まれてきた
4つの大きな括りすべてに「地理」という言葉がついている。「地理」は筆者にとって特別な学問であるようです。東大生の中でも特に地理的思考力を持っている人の話は、多面的に物事を見ていることが多く面白いと筆者は言う。確かに本書を読んでいると視界が開けていくのが解る。こうして物事をとらえて行くことによって得られる知識の面白さを感じました。
例えばOPECってよくニュースで話題になりますよねぇ。
石油の価格が上がったり、下がったりするけど、一体何がどうごちゃついてこういう展開になって行くのか?「ガソリンが上がっちゃって困る」っていうとりあえずの問題だけを見ていた自分。でも本当はこうなる前に様々な経緯や各国の思惑が当然あるわけで・・・。石油王もかなりの頻度で登場するけど、どういった存在なのか?あの国とこの国はそもそもなんで仲が悪いのか?等々、読んで行くうちに根っこにあったものが見えて来て「あーなるほど」と、少しずつお利巧さんになっていく感覚が宿る(笑)
何かと世界の注目を浴びているトランプ氏。あんな破天荒な感じの人がなんでアメリカの大統領になれたのだろう?掘り起こしていくと日本の「トヨタ」が選挙の投票数に影響を与えているという話もなかなか興味深い。
感覚的には池上彰さんの番組みたいな感じかな。個人的にはいつか読んだ「小学生新聞」を思い出すようなマイルドな読み心地でした。
地図=地理ということに囚われていましたが、こんな風に地理が学べていたらきっと楽しかっただろうなぁ。まずは「興味が持てる」ってことが大事。そのあとで、「自分の言葉でちゃんと説明できるか?」これが出来てはじめて理解したことになるんだなぁと改めて思った次第です。
というか、本当、表面的なことしか学習していなかったかも?と、この年になって気づくというトホホな気分も味わいました(>_<)