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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ミルク&ハニー:村山由佳

 

 

ミルク&ハニー:村山由佳著のレビィ―です。

 

 

最高潮になんとも言えない気持ちにさせられた1冊となってしまった

 

自伝的小説として売られているけど、これ、小説ではなくノンフィクションじゃない?と言えるほど生々しい。


****ということで、かなり辛口レビューです。

        イメージが崩れる場合がありますのでご注意を****

 

村山さんのTwitterのフォローをしていない人は恐らく小説として読めるかもしれないですが、数年にわたり村山さんの実生活をTwitterを通して見ている自分にとっては、呟かれていたあれこれの全てが繋がり、「そういうことだったのか」と気持ち悪いほど判ってしまったという。

 

元来村山さんの小説の主人公はご本人の影を纏うものが多く、本当に読みにくいと思うことが多いのだけれども、それでも面白いのでつい完読してしまう。しかし今回はそれとは異なる次元で、なんというか見たくもない他人のリアル日記を見てしまったような気分にさせられた。それゆえに尾を引く。うーむ。

 

主人公、登場する人々はほぼリアルに誰のことか判った。2度の離婚を経て、現在のいとこである恋人、そして、ご両親、なぜ大阪にも住まいを持って行ったり来たりしていたのか?等々、まるでTwitterでつぶやかれていた「不思議」が、この本によってすべてが明らかになった。

 

例えば、村山さんは現在の恋人を「背の君」と表現する。随分古風な呼び方をするな・・・と思っていたのですが、本書を読むとその呼び名の由来が明確になる。

 

主人公・奈津の赤裸々な男遍歴、性癖、結婚観等々、おそらく読者はこの部分に辟易しながら感想を述べることだろう。私も思うことはたくさんある。もうキーッとなるくらい。

 

これがね、村山さんがもっと年を取ってからの公開であれば、また違った感想になったかもしれないのですが、ここ数年の出来事を、あられもなく週刊誌の告白記事みたいに垂れ流してしまうことがなんだか悲しい。それを小説と銘打ってるのが更に残念。

 

書くことによって村山さんの気持ちが浄化されていくのも解かるし、それが小説家というものだと言われるとぐうの音も出ないのだけれども、こんなにもリアルに近いもの(ほぼリアル)特にごく個人的な性生活等を聞いてもいないのに晒されると、なんかこう気持ち悪いんだな。熟された秘め事の奥ゆかしさなど微塵もなく、なんだかなぁ・・・と。

 

ここのところ新刊が続々と発売され、どれも油が乗っていて面白く、いい感じだなーと思っていたところにこれだもの。しかも、こんなに書いているのは前夫の借金返済のためだったのか・・・とちょっと複雑な気持ちにも。

 

本書の主人公は今の人と出会って「本当の愛」を知り「本当の自分」を知ったということで幸せを感じている。うん、これも現在の村山さんそのもので、もちろん良かったと思うのです。

 

 

 

 

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村山さんの本っていつも読者と作者の距離感を考えさせられるんですよね。作家の私生活はどこまで明かされるべきかとか。それもこれもTwitterの影響力が大きいのかな。昔の作家も自分のことを赤裸々に書いているけれども、リアルかどうかは本人にしか判らないという感じだから、読者も想像を巡らせるというスペースがあった。しかし、今はTwitterで写真を用いて私生活を呟いている作家だと、読者にとっては小説とご本人の境界線が曖昧になり、作品内容とご本人がダイレクトに繋がってしまう。村山さんのようにパートナーとのライン会話の公開までされていると、その時は面白く拝見しちゃうのですが、本を読むときにかなり邪魔になるんです。このあたりのバランス・匙加減って本当に難しい。

 

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ということで、随分前に書いたレビューです。村山さんの小説も深夜のFM放送も好きなんですが、引っかかる部分を今回は放出してみました(笑)なんやかんや、この後の小説も手にしています。さらにエスカレートしちゃっていて、レビューもさらに辛口になってしまいそうなのですが。

 

今回書いた内容は、あくまでも村山さんのTwitterの長年フォロアーである自分の感想です。そういった情報の無い方は純粋に小説に対する感想になると思います。

 

 

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