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【レビュー】にじいろガーデン:小川糸

 

にじいろガーデン:小川糸著のレビューです。

にじいろガーデン

にじいろガーデン

 

 

同性愛者たちの「家族」を描く

話の展開自体はそれほど大きな波があるわけではないのだけど、読み終わってみると、なにか心のなかにくすぶるものがあったのは、やはりこの国ではまだまだ表に出てこない同性愛者たちの「家族」についての小説だったからだろう。

 

目新しいことではない、すでに特別なことでもない…と頭では考えていたけど、こうして小説になって、彼女たちの日々の生活を眺めてみると、それぞれにもつ葛藤や問題点が見えてきて、なかなかしんどい状況もはっきりする。逆に小説だから成り立っているのだろうなぁ・・・と感じる部分も少なくはなく、現実感と非現実感の間を行ったり来たりしていたなぁとも思う。

 

別居中の夫との関係に苦しんでいた30代半ばの泉。
両親との関係に悩み、死ぬことを考えていた女子高生の千代子。

 

ある日思いつめた様子の千代子を見かけ、泉は彼女に声をかける。この出会いから、お互いの悩みや痛みを話していくうちに、ふたりは恋に落ちる。千代子はもともと同性愛者だったが、泉はこれまでに経験がないから、戸惑いながらも、いつしか彼女に夢中になっている自分に気づく。

 

やがて、ふたりは泉の息子・草介と一緒に「星がきれいな山里・マチュピチュ村」へ引っ越し、新たな生活を一からスタートさせる。

 

ここで表紙の絵が気になり再確認すると、3人であるはずなのに、4人が手をつないでいる。あれれ?あと一人は誰?

 

そう、引っ越してしばらくすると、千代子の妊娠が判明する。その子供の父親と千代子の関係については辛いいきさつがあるのだが、千代子は泉と話し合い生む決心をする。
「宝」と名づけられた長女が加わり、家族は4人になる。

 

 

 

さて、4人の暮らしはどうなるのか?
ゲストハウスをはじめたり、子供たちの成長、待望の結婚式。
幸せな時間もたくさんあるのだけど、保守的な村での嫌がらせや偏見、千代子の病気、そして草介にも・・・と、辛いシーンも同じくらいやって来る。

 

それでもこの小説は同性愛者たちや、血の繋がらない人々がひとつの「家族になってゆくこと」の意味を教えてくれているのだと思う。

 

やわらかい文体、温かい雰囲気にうっかり「いい話だったね」って気にさせられるのだけど、その奥にもっと大きなテーマが含まれていることを感じ取らなければならない作品であると思うのだ。