蒼玉の令嬢:荒井修子著のレビューです。
華族の少女と、不遇な生い立ちの少女が、台湾からの船の中で起きた出来事をきっかけに一生涯の友となる友情を描いた作品です。
内容はややありがちなものではありましたが、少女たちが少しずつ自分の道を切り開き、逞しく成長していく姿が清々しく、まるで細い幹が大きな木になって行くような清々しいストーリーでありました。
華族ならではの結婚相手選び、そして華族の浮き沈み。
そこへ「伝説の宝石」が登場し、ミステリー感も加わります。
青春ミステリーということらしいですが、私的にはミステリーの部分は印象が薄く、何が何でも真相をしりたいという気持ちが湧いてくるような感じはありませんでした。
それよりも華族社会とか、女性の生き方などの変化の方にもっと焦点を当ててもよかったのではないかな~とも思いました。少々どっちつかずに感じられたけれども、ラストはズシリと重みのあるものが控えていました。
あと、恋愛部分も結構楽しめました。
比佐子嬢が誰と結婚するのか?とか、陸軍所属の吉岡文彦の本心は?など、気になる人間模様に釘づけでした。
著者は脚本家なんですね。
すぐにでもドラマ化できそうな雰囲気の作品で、大いに納得いたしました。