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【レビュー】これでよろしくて?: 川上弘美

これでよろしくて?: 川上弘美著のレビューです。

これでよろしくて? (中公文庫)

これでよろしくて? (中公文庫)

 

 

残り少なくなったマヨネーズと心の中に溜まっている些細な悩み。

すぽんっと出したい感じはどこか似ている。

 

川上弘美さんは新刊が出れば必ず読むというわけではなかったのですが、こうして数冊読んだところで気づいたのは、意外にも自分の中で評価の高い作家さんかも?って思い始めている。

文章も癖がないし、内容もすう―っと、こころに沁み込んでいくような心地良さがある。辛辣な会話も含めなんか解るって部分が結構あったりもする。あまりに自然すぎるから、自分の中で特別な作家になってなかったのかな~と今更ながら思うのであった。

さて、本作は夫婦、嫁姑、親子等々、ほんの些細な日常の違和感を描いたもの。特に大きなダメージに至らない、けれどもこれからこれが何十年も続いて行くのかと思うと、やっぱりしんどいかも....主人公の菜月はそんな違和感の中に居る。

結婚して買ったダブルベッド。夫がしてくれる腕枕。家出した来た義母や義妹。
━本当は嫌なんだけど声をあげるほどのものでもない。

菜月はある日昔の恋人の母親と偶然出会い、ある会合に誘われる。年齢も仕事も経験もバラバラな女性たちが数名集まり、美味しい洋食を食べながらお題を決めて話し合う奇妙な会合。その名は「これでよろしくて?」。菜月は自分の中にある「・・・・」の違和感をこの会合で吐露する。

容器を逆さに立て、残ったマヨネーズがふた近くにたまるようにしておく。その、たまった少量のマヨネーズを、ぎゅっと絞り出した時。すぽん、という手応えがあって、全部を絞り出せる時もあれば、ぎゅう、と力をこめても、あと一匙ぶんほど残ってしまい、どうやっても絞りつくせない時もある。


心の中に溜まっている悩みや違和感を吐き出した菜月の気持ちを、川上さんはこんな風に表現。いやぁ、なんかすごく解るなぁ。マヨネーズとの残り僅かな戦い、捨てちゃえばいいのだけれども、やっぱりもう少しなんとかしたい、それが解消できた時の小さなすっきり感は結構嬉しいものだったりする。

菜月はこの会合で自分を見つめ、家族を見つめて行くわけだが、まだまだ夫と家族になりきれていない不安も抱えていた。

会合での女性たちの話は辛辣で、思わす笑ってしまうんですが、なかなか聞き捨てならない内容が多い。

この先菜月がどのような夫婦関係、家族関係を築いていくのかは分からいけれども、気持ちのコントロールをする上で、こういうなんの利害関係もない女性たちの集まりは息抜きとして必要ですよね。

会合内の「肉じゃが論」と「息子と母親の間にある甘あいもの」の話はとても興味深く面白かったなぁ。

ということで、今回も川上作品は楽しかった!
徐々に追いかけて行こうと決意!(笑)

 

 

uzumaki-guruguru.hatenablog.com

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