海辺の週刊大衆:せきしろ著のレビュ―です。
無人島での唯一の友達は週刊大衆!?
無人島に取り残された男。
何もない島で唯一の楽しみはなぜかそこにある1冊の週刊大衆。
そこから男の頭のなかで繰り広げられる連想ゲームじゃないけれどくだらない妄想やらあれこれを考える世界を、まるで定点カメラを覗いているように読者は眺めることになる。
普通は無人島と言えば助かる手段など必死になるところだろうが、この男に危機感はないのかと言えるほどサバイバル感がない。
だらだらと日々が流れ、一体どうなってしまうのだろうという不安がよぎるが、くだらない話がいくつも登場してそんな心配もバカらしくなる。
でも、何もない島で暇つぶしに考えることって案外こんなくだらないことかも知れない。いつまでも終わらない「しりとり」をするしかないというか。
そしてその合間に登場する男のごく日常の過去の回想シーンなどが結構笑えたり、ぐっと来たりする。
ラストはとても切ないし、ずっと孤独な無人島での日々だったわけだけど、なんでだろう、読み終わってみるとひと夏のバカンスから帰ってきたような気分だったりする。明るい装丁画がそんな気持ちにさせてくれたのか?ちょっとマジック的な読後感が面白い。