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【レビュー】ボヌール・デ・ダム百貨店―デパートの誕生:エミールゾラ

ボヌール・デ・ダム百貨店―デパートの誕生 (ゾラ・セレクション) :

エミールゾラ著のレビューです。

 

狂乱!お客も従業員も物もこの百貨店に飲み込まれていく様子が生々しい。
遠い昔の話なのに本を開くとものすごい喧騒が! 

 

 

鹿島茂さんの「明日は舞踏会」から火がつき、フローベールの「ボヴァリー夫人」やバルザックにチャレンジし、なんとなくワサワサ蠢いている雰囲気漂うこの時代のパリと人間模様に魅せられてはや数か月。

 

フランス作家の背景はまったく勉強不足で、この作家が読みたいというものは特にないものですから「あらすじ」から興味のもてそうな作品情報をちょろちょろと調べて借りてきている状態です。

 

今回はゾラの「デパートの誕生」を扱った話ということで、これなら当時のファッションも含め楽しめそう!とページ数にビクつきながらも突入しました。

 

「ボヌール・デ・ダム」直訳すると「ご婦人方の幸福」となるそうだ。
さぁ、この百貨店、どんな手法でご婦人方を喜ばしてくれるのでしょうか?
扉を開くとそこには・・・。

 

マダームたちが優雅にお買い物と思いきや、そこに繰り広げられている世界はまさに「狂乱」という言葉がふさわしいくらい騒々しく、百貨店はどんどん大きくなり続けます。

 

本書は女性たちの購買意欲のみならず、百貨店の周りにある小売店を廃業に追い込む過程や、百貨店で働く人々の労働条件、うわさ、嫌がらせ、キャリアアップ、恋愛、経営のノウハウ、魅惑の商品の数々、陳列、お客さんの万引き事件に至るまで、とにかくものすごい熱気をもって次々に押し寄せて来る。

 

お客も従業員も物もこの百貨店に飲み込まれていく様相が不気味でド迫力なのです。
それはもう百貨店という建物ではなく生きている怪物のような脅威すら感じさせられます。

 

主人公は両親を失い、叔父を頼って田舎町から弟を連れてパリへ出て来たドゥニーズという娘。

 

「ボヌール・デ・ダム」にすぐに魅せられ、叔父の店では働かず、「ボヌール・デ・ダム」の女店員となり、劣悪な労働条件下でひたむきに働きます。

 

やがて、百貨店の社長ムーレ氏の目に留まり、昇進し、キャリアを積み上げ、彼に見初められ、何度もアプローチされますが、そのたびに断り続ける彼女。

 

なにせムーレ氏は女好きで、噂が絶えない人物。
しかし、そんなムーレ氏の目に映る彼女の存在は特別。

二人の恋の行方も気になります。

 

と、まだまだいろんな出来事が巻き起こるのですが、この百貨店の規模が何から何まで壮大で・・・。買い物客でビルが揺れちゃうってすごいですよね。

 

いつも大衆が押し寄せ、店内は暑くて、息苦しくて・・・読んでいるだけで人酔いしちゃいます。こうやって今書いている最中でもあの熱気が蘇ってきます。

 

著者のゾラは実際のデパートを探訪し、ほぼ1ヶ月間、午後の5・6時間ボン・マルシェやルーブルなどのさまざまな部門を見学し綿密な取材をしていたそうだ。小説であっても実話のようなリアリティがあり、それが最大の魅力でもありました。

 

ドゥニーズのシンデレラストーリーという事前情報を聞いていましたが、それよりもずっとずっと周りで起こるシビアな出来事の方が見所が多い。

 

恋愛サイドだけ覗いてみると、当時の男性陣たちに魅力のある人物が少なすぎる。
いや、この小説内だけだと思いたいが・・・。

 

そんなこんなで「圧巻!」と、言う言葉がまさにぴったりの「ボヌール・デ・ダム百貨店」。本文だけではなく挿絵の細かい部分までかなり楽しませてもらいました。分厚くて手が疲れたけどね。

 

フランス文学の人間模様、雰囲気、なんだかすっかりハマってしまいました。かなり濃密な読書体験ができるので病みつきになっちゃいます。もう少し下地を作って、次回読む作品を決めようと思います。