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【レビュー】神に守られた島:中脇初枝

神に守られた島:中脇初枝著のレビューです。

神に守られた島

神に守られた島

 

 

 

◆その時、小さな島では何が起きていたのだろか? 

 

 

戦争中の沖縄の様子は語られることが多いが、
その周りにある島々の当時の様子を聞く機会は意外にも少ないと
改めて感じさせられる。

 

本書は沖縄本島ではなくその近くにある小さな島・沖永良部島に焦点を当てる。

 

空襲警報が頻繁に鳴るにもかかわらず、どこかのんびりした雰囲気がある島。
子供たちは学校に行けなくなったものの、自分たちに課せられた家の手伝いや
飼育している動物の世話などし、自然の中でのびのびと過ごしているシーンが

印象的だ。

 

しかし、浜に漂流してきたアメリカ軍の食糧を拾いに行ったり、
特攻に失敗した兵士が島に不時着したり、防空壕を行ったり来たりと
やはり日に日に戦争の色が濃くなっていく様子が伝わって来る。

 

はじめは沖縄の方言がたくさん出て来て、言葉と意味、

そして登場人物の続柄を一致させることに必死で、

どうなることやらと思ったけれども、後半は視界が開けてくるかのように

読み易くなり色々なものが見えて来た。

 

沖永良部島を地図で探してみた。
とても小さい島だ。こんなところにまで空軍機がやって来たのかと思うと
本当にゾッとする。

 

情報の少ない島では、空を見上げ、音で機体を見分けながら

その日の状況を感じ取る。
食料も底をつき始め、いつなにが起こるかわからない恐怖の中で

日々過ごしていた人々の心情を思うと本当に居たたまれない。

 

しかしどう言うことか。
読み終えてみると戦争の悲壮感よりも、島の人々の唄い声、踊る姿が
まるで切り取られた絵のように輝いている。

 

大事な家族を失い、自分たちの未来も絶望的な状況下で
唄い、踊る人々の逞しさと大らかさと切なさがない交ぜになり、
あの小さな島から漲る力がどこからともなく感じさせられる

心地よさが残った。

 

『世界の果てのこどもたち』よりマイルドな読み心地でした。
そういえば、本書も美味しくおにぎりを食べるシーンがあったなぁ。
おにぎりひとつを受け取るとびっきりの幸福感はどこに居ても

一緒だなと嬉しくなる。

 

今まででもっとも暑いと言われている夏に、
日本人が最も辛い思いをした夏の貴重な話を

今年も読めたことに感謝します。

 

 

 

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