かの子撩乱:瀬戸内晴美著のレビューです。
童女と呼ばれた岡本かの子の生涯
以前、岡本太郎さんのお墓をテレビでみかけた。岡本家のお墓はまさにアートといった感じで、私はこのブロンズ彫刻を見るたびにちょっと泣きそうになる。彫刻のタイトルは「午後の日」。
同じ場所に、父の一平と母のかの子の個性的なお墓がある。その2人を嬉しそうに頬杖をついて、ニコニコしながら見ている太郎がいる。あどけない表情、人は死んだら子供にかえり、こんな無邪気な気分でまた過ごせるのかもしれない…と、ほんわかした気持ちにさせられるこのお墓。
そんな岡本家、一体どんな家族だったのかと知りたくなり手にしたのがこの1冊です。表題通り本書は母・かの子の生涯を綴ったものです。600ページというボリューム。若干引用文が多かったので、その部分はザックリ読みました。
とにかくかの子という人物はいい意味でも悪い意味でも強烈です。こういう女性はなかなかいない。一度会ったら二度と忘れない圧倒的な存在感。そして、この魔力を持った女性に気に入られた男性は逃れることはできないでしょう。
1ページ目にある「かの子の写真」は決して美人ではない。けど、女性の私が見ても、吸い込まれそうな瞳に釘づけになった。
外見の強烈さだけにとどまらず、かの子の性格や行動自体も「は?」とさせられることの連続。それは無邪気とか無垢とも言えるし、我儘で自由で、非常識とか困ったちゃんとも言える。
こんなエピソードがあった。
一平がある日、三輪車を太郎に買ってきた。
すると、かの子は大喜びする太郎より先に
三輪車に乗り庭を往復するありさま。太郎は大泣き。
童女とも言われていたかの子は、終始こんな感じで喜怒哀楽も激しく、大人になってもワンワン泣くシーンなどしょっちゅうだ。この泉のように溢れ出るエネルギーの強い女性に振りまわされながら付き合う相手も相当なパワーを要されたことだろう。
一平も変わっている。変わらざるを得なかったのか?その夫婦生活には、かの子の愛人が常に登場し、一緒に暮らしていたという。
一平は何がなんでもかの子を手放したくない。奪わないで欲しいと愛人に訴える。
必死です。そして無理ならみんなで一緒に暮らしてしまえばいいという発想…。あり得ないですよねぇ。
まぁ、こういう寛大さが重なって、かの子も一平に大きな信用を抱き、徐々に落ち着いた生活になっていきます。また、作家たちの中でもかの子を受け入れなかった人も多かったようだが、誰もがこの伝説的な女性に注目はしていたはずだ。
やがて、かの子の最期を迎える。一平と新田という愛人が東京中のバラを買い占め、そのバラと一緒に土葬した。最期までユニークというか…。
…長い長いこの本を読み終えて、改めて岡本家のお墓の画像を見てみる。相変わらずニコニコした像に目がしらが熱くなる。
こんなにもかの子を中心に激しく見えた一家にも、この人たちなりの「午後の日」の安らぎがあったのだなと。それは凡人にはなかなか解りにくい形であるけれども…。





