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【レビュー】とりかえばや物語 (21世紀版少年少女古典文学館) :田辺聖子

 

 

とりかえばや物語 (21世紀版少年少女古典文学館) :田辺聖子著のレビューです。

とりかえばや物語 (21世紀版・少年少女古典文学館 第8巻)

とりかえばや物語 (21世紀版・少年少女古典文学館 第8巻)

 

 

 

男と女を取りかえる?永遠の新しい小説

 

 

田辺聖子さんの「とりかえばや物語」にチャレンジです。

もう、とにかく最初のページから話が面白くなりそうと言う予感が
ムンムンとあったのですが、まさかこんなにも面白いとは!と思うほど
最後まで飽きることなく、のめり込みました。

 

「とりかえばや」とは、「取り替えたいなぁ…」という意味で、

一体何と何を?ということなんですが、この話では「男と女」をという、

なんとも斬新な父親の嘆きをもとに大変面白いストーリー展開を

見せてくれるのです。

 

内気で女性的な兄。男性的で快活な妹。(二人ともよく似た美形)
こういう兄妹は今でも普通にある話だと思うのですが、
この兄妹、各々、女装・男装し、性別を偽り生きていくことにするのです。

 

そんなことして、周りにバレないのか?と言う疑問点はさておき、
特に注目したい人物は男装した妹。

 

彼女は男社会でバリバリキャリアを積み上げ、才知・美貌・人柄を
持って人々を魅了して行くが、運命の落とし穴にはまり、
思わざる出産を経験する。

 

そこから、女としての人生を歩むことを選ぶのですが、旦那に支配される
閉鎖的な人生に疑問を感じ、結局子供を捨ててまでも、その場から

逃げ出してしまう。
そこから、彼女の運命はどう変わっていくは是非読んでいただきたい。

 

男性らしさ、女性らしさ、キャリアと結婚、そして男のどうしょうもない
浮気性など、今の世の中にある事象がそのまま題材になっている。

 

田辺聖子さんもおっしゃっている通り、女の生き方がたえず問われている
お話だということにも納得がいく。そして永遠の新しい小説であることも。

 

作者は不詳ということだが、田辺さんは女性ではないかと言っている。
私もそう思うのだが、もしかしたら、ミッツ・マングローブさんあたりの
女装趣味の男性というケースもあるのではないかと密かな思うのである。

 

あ、ラストはどうかって?切なさあり、哀愁あり、そして幸せも!