天の陽炎―大正浪漫伝説: 栗本薫著のレビューです。
◆ベタやなぁ…と何度思ったことか…
久しぶり昼のメロドラマを見せられた気分…。
「何しに来たんです?あぁ…何をなさるの…ダメ…お止めになって…」
的な世界でした。
18歳で玉の輿に乗った真珠子。
しかし、年の離れた夫は真珠子の美貌にだけ関心があり
着せ替え人形のように扱うだけで、それ以外は彼女に無関心。
お金持ちということで、何不自由ない環境。このままずっと退屈な人生を…
あーありがちです。そこで、必要なアイテム!
そうです、そうです。破天荒な大陸浪人なる男が彼女の前に現れ、
彼女を力ずくで身も心も奪っていくという、分かりやすーい
展開になるわけです。
どんどん彼に染められていく真珠子。
イヤヨ、イヤヨもスキのうち イヤヨ、イヤヨもスキのうち
この言葉が何度も襲ってくるような二人の濃厚な会話に
ちょっとうんざりしながらもどうなるのか気になる。
使用人に彼との逢瀬を知られ、またまたその使用人に犯される真珠子。
しかも、ワイルドな彼はお金を奪い中国に渡ってしまうし…。
もぅ…なんていうか…。
でも、あんだけ嫌だ嫌だ言ってたのに、1年経っても彼のことが
頭から消えずなんです。
居なくなった彼との日々を振り返り、妄想する日々。
女の悲しい性ってやつですかね。
そしてようやく会えたんですけどね。
しかし…
キャーーなんつぅ、結末。
大正浪漫伝説、装丁画、そして内容紹介文を読んで、これは面白そう、
情熱的で一途な愛を貫く感じかなぁーと思って読んでみたのですが
「軽い」……。
まぁ、最終シーンが思ってもみなかった展開だったので最後まで
読んで良かったとは思いますけど、こんなにも自分が思っていたものとの
ギャップが激しかった小説はある意味珍しい。
こういうことも、まぁ、たまにありますよね。ブツブツ…