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【レビュー・感想・あらすじ】彼の女たち :江國香織・角田光代・井上荒野、 他

 

 

彼の女たち :江國香織 他のレビューです。

彼の女たち (講談社文庫)

彼の女たち (講談社文庫)

  • 作者: 江國香織,井上荒野,角田光代,嶽本野ばら,唯野未歩子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/04/13
  • メディア: 文庫
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感想・あらすじ 豪華!人気作家たちが手がけたジョイント小説

 

ジョイントメンバー

江國香織、井上荒野、嶽本野ばら、角田光代、唯野未歩子

 

この錚々たるメンバーが、一つの小説を手がけたというジョント小説。一体どんな感じになっているのか、すごく気になり読んでみました。女性作家5人による初リレー小説をやろうということだったのに、何故か嶽本さん(笑)

 

江國さんのリクエストがあったそうです。しかしまぁ、この企画、飲み会の席でやろうと軽く決めたっぽいのですけど、出来上がった作品は本当みなさんプロだなぁーと。

 

そもそも最初に決めたことは、大まかな登場人物と時系列と、最後のシーンを何年後にするかってことだけ。それで、こんなちゃんとした小説に仕上がってしまうんだもの。
怖い怖い!

 

これらの過程・個々の作品の感想など「創作秘話座談会」で5人が集まり語られています。これが非常に面白い。今回、書き手でもあり、他の人の作品の読み手でもある作家同士の話は一体どんなものか…そのあたりがよく見えます。

 

 

 

 

さて、内容は18年前のパンクバンドのボーカリスト「J」に関わった人々の話。風俗嬢、太った女子高生、父を探す17歳、歳を偽って女子高生のふりをする者。秘密を抱えているOL。

 

どの登場人物もそれぞれ、見どころが多いのですが、本書の楽しみは各章に出て来る「J」の姿がいろんな角度から見られ、まるで読むごとにひとつの人格が浮かび上がって来る感じが面白い。

 

5人の作家が自由に書いているにもかかわらず、この「J」と言う人物によってひとつに繋がっている感じと、「J」の歩んで来た道が少しずつ判ってくるあたりがなんだか凄い。一人の作家が創っているなら解るのですけどねぇ、よくまぁ5人が一体化したなぁと。

 

井上さん、江國さんあたりは持ち味が特に出ていたような…。ファンなら誰が書いたのか伏せられていても、きっと判るんじゃないかな~。

 

時代の中心は80年代。グルーピーがいたり、性行為をABCDという段階名?を用いていたり洋服の流行りブランド名とか、もうずーっと忘れていたような言葉なんかも出てきてよくまぁ、こんな言葉まで掘り出して来たねぇーとクスリと笑ってしまう場面も。

 

ということで、なんだか豪華なケーキを食べ、お腹一杯の気分。1冊で5度美味しいってやつでした。