この年齢だった!:酒井順子著のレビューです。
感想
あのスゴイ人々の転機はいつだったのか?
たまに、偉業を成し遂げたり、すばらしい文学作品の生みの親なる人物がとんでもなく若い時のことだったという事実を知り驚愕することがある。
「こんなことが出来る人・書ける人は経験を積んだ大人だ」という思い込みがあるからそのギャップに気づいた時にギョッとするのである。そんな意外性を発見をしてみたくなり借りてみました。
女性たちの転機を題材に、古今東西、故人も含め様々な人物27人の功績や生い立ちなどを考察した偉人伝。
何といっても酒井さんがどんな女性をセレクトしているのかが気になり、読まずにはいられません。
一人の人物をじっくり掘り下げたものではないので、若干の物足りなさは否めない。
しかし、酒井さんの独特な視点で考察されているので飽きることはない。むしろ、この本をきっかけに、さらにその人物をより深く知りたくなったり、作品に触れてみたくなるように仕組まれているのではと思ってしまう。
大まかな構成は「この年齢だから」・「この年齢なのに」という大きな章がありその中に、様々な著名人の名前が並ぶ。
中でも熱いのは、清少納言でしょうか。
酒井さんご自身、同業者という親近感をお持ちで「清少納言と私は必ず気が合うはず」と言っているほど。清少納言の転機は28歳。家庭か仕事かを選ぶ時期がこの年齢だったそうで宮仕えという充実したキャリアがあったからこそ「枕草子」が誕生したなどの話に繋がるのです。
私的には長谷川町子さんのお話が新鮮でした。
サザエさんの作者ということ以外、彼女の私生活や生い立ちなど知らなかったものでこれを機に自伝など読んでみたいと思いました。
そして、安室ちゃんのプロ意識の強さを感じると言うライブも是非、観てみたかったなぁーと。
一人の人物についてじっくりというわけではないですが、数ページでこれだけコンパクトに面白くまとめているという部分が素晴らしく、「読ませる人物豆事典」のような位置づけといった感じです。
レディー・ガガ 山口百恵 オードリー・ヘップバーン 与謝野晶子
松田聖子 金子みすず 清少納言 ダイアナ元皇太子妃
マリー・キュリー 雅子様 持統天皇 市川房江 マザー・テレサ
オノヨーコ 向田邦子 マーガレット・サッチャー 他
ザッと数名挙げてみましたが、この人たちの転機の年齢は?
「え!」という人物たちが取り上げられてるという意外性にページをめくるのが途中からえらく楽しくなって行きました。
また、自分のその時の年齢と照らし合わせて読むと面白いです。
「ふぁぁ…やはり偉人は何かが違う…」と凡人の私はため息連発でしたが。
いや、まだものすごい転機が待っているかも知れない
……と思いたい(弱気)
文庫本