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【感想・あらすじ・レビュー】マーガレットの回想 : マーガレット・パウエル

 

 

マーガレットの回想 : マーガレット・パウエル著のレビューです。

英国メイド マーガレットの回想

英国メイド マーガレットの回想

 

感想・あらすじ 英国メイドの世界をたっぷり堪能

 

 本書は英国メイドの実体験に基づいた内容で、当時の生活様式や、メイドの生活が非常に生々しく感じることができる一冊。

作者のマーガレット・パウエルは貧しい家庭に育ち、13歳で働きに出て、キッチンメイドになる。

日本の「女中」は、奉公に出ると、ちょっとした経験による上下関係はあるもののさほど大きな待遇の差はなかったと思うのですが、英国の場合はメイド内でも階級のようなものがありその役割分担もきっちり。待遇もまちまちです。

 

 

 


当然マーガレットは下級メイドからスタートするわけだが、過酷な労働や劣悪な生活環境には、やはり驚くことの連続でした。

─────新聞を奥さまに直接手渡したら、「必ず銀盆に置いて渡すように。」

と叱られる。

などのエピソードが随所に出て来て、その都度マーガレットのやるせない心情が語られています。

いくつかの家庭を点々とし、少しずつキャリアを上げて、コックになったマーガレット。しかし、一生独身のメイドという人生に疑問を感じ、将来は結婚したいという夢を持つ。

そんなわけで仕事だけじゃなく、しっかり恋人も探すのだけど、恋人探しは仕事探しよりある意味必死で、慎重な様子が伺える。同僚とナンパされるスポットに出かけていき、候補者の品定めをする話などもリアル。そして、興味のない男性に対しての辛辣な言葉があっけらかんと綴られちゃっています。

 

 

 

 


…といった感じで、1章から5章まで場所を変え、キャリアを上げながら詳細を語っています。回想というだけに、あれこれ話が飛び火する感じなので、退屈感はないけど、何故か疲れるのはやはり愚痴っぽいからかな?

今回英国メイドの一面に触れたわけだが、この世界は雇う方も雇われる方もそれなりのキャリアが必要だということが感じさせられる。

雇う側もメイドの扱いを誤ると、何度も何度もメイドが去ってしまうわけで、また、メイドだってしっかりキャリアを上げないと、いつまでたっても希望がもてない。

後半の話でメイドの人権を尊重した家庭があった。そこでマーガレットの気持ちもはじめて「〇〇さんのためにする」という喜びを知るわけだが、これこそが良好で健全な関係だと気持ちが和んだ。

上流階級ほど使用人に対する配慮が出来ており、中流階級の家庭での使用人に対する様子の違いは興味深いところです。

ということで、過酷なメイド生活から、結婚をしたマーガレット。どんな人と結婚をし、そして、どのような余生を過ごすのか…

不満が多かったことの発端が、最後に明かされていて、「なるほど」と腑に落ちる。自己実現への執着を持ち続けたマーガレットはスゴイ女性だなぁ…と、気持ちよく読み終えました。

全体的には軽快なタッチなので読み易いと思います。英国メイドの世界も日本の女中と違った苦労が分かりその対比がとても面白かったです。