日本のファッション:城一夫著のレビューです。
あるよね? 二度と着られないあの恥ずかしい服
本書は明治以降の約140年間の日本のファッションを追ったものです。ちょんまげに洋服、帯刀という和洋折衷スタイルからはじまるこの本は一度開いたらノンストップで一気に現代まで読みたくなります。
厚い本の大半はイラストで紹介され、1ページに2体ずつ掲載されています。
・文明開化としての洋装
・大正ロマンの洋装と和装
・モガとモボ
・国民服からアメリカンスタイルへ
・パリモードへの憧れと「太陽族」
と、続々と昔のファッションスタイルに見とれながら、いよいよ自分の知っている時代に入っていくワクワク感。やはり自分が経験した流行は格別に楽しいものです。
まぁ、楽しいだけでなく、今思うと気恥ずかしいファッションもあるわけで、それは昔のアルバムを開いた時に感じるあの苦笑しちゃう感じに近い。
ハマトラ、プレッピー、肩パット大きなスーツ。
ワンレン、ボディコン、トサカヘアー・・・
中でも目を引いたページは、真っ黒なファッションのカラス族。服も小物も黒一色で統一されたファッションは確かにスタイリッシュだったと思うんだけど、この人々が街中を埋め尽くされてると想像するとちょっと異様。この2ページだけは、「喪中」の雰囲気です。
ブランドも流行りましたねー。
メンズビギ、シャネルのスーツ、ピンクハウス、パーソンズ。「SAS」のあのペナペナなショルダーバッグとか、すっかり忘れていたものを見て、思わず噴き出す私(笑)
そして、チビT、ミニプリーツ、厚底ブーツ、ヤマンバ・ギャル、ロリータ、あゆラー、ちよいワルオヤジ・・・等々、現在のファッションに繋がってゆく。
もっと取り上げてみたいけど、書き出したらきりがないことに気づき、だいぶ割愛させていただきました。これは、一人で見るより、ともに青春時代を過ごした仲間とあれこれ突っ込みながら読むのが楽しいんじゃないかな~。
全体的な感想は、自分の知らない時代のファッションの方が上品で、素材や仕立ての良さを感じました。母の娘時代の話を聞くと、デパートで好きな生地を買って、自分でデザインしたのをいちから作ってもらうパターンが多かったらしく、出来上がるまで結構な日数がかかったそうですが、その過程も楽しかったと言います。
かくいう私も学生時代、友達のお母様にいくつか仕立ててもらった洋服があるのですが、採寸してもらった服なだけにフィット感もあるし、デザインも注文通りに作っていただいたので、ものすごく気に入り、大事に着た覚えがあります。
今はわりと自分が欲しいと思うものも手に入りやすく、その分飽きるのも早いわけですが、そろそろ、良いものを長く着ていけるような服を選びたい・・・と思いつつ、日々の着まわしが大変で、ついセールで買ってしまったりするんですよねぇ。
時代背景を感じながらファッションを振り返る。それは、自分の洋服の歴史を振り返るとともに、洋服との今後の付き合い方を少しだけ考える時間にもなりました。
知ってる時代も知らない時代も、それぞれ愉しめた1冊です。
あなたの着た恥ずかしいファッションもきっと見つかる(笑)