ししりばの家:澤村伊智著のレビューです。
砂って・・・怖い
ホラー要素の強いアイテム「砂」。と言うのも、安倍公房の「砂の女」を読んだ読者は、「砂」の恐怖を存分に知っていることだろう。かくいう私もあの時の砂の恐怖はいまだ忘れられない。
土の方がじめっとしていてホラーに向いていそうなイメージだけど、いやいや、砂の方が本当は怖い。
本書の怖い部分は人それぞれだとは思うのだけれど、私の怖さポイントは「砂」に尽きるのだった。
一軒の家にまつわるホラーは、ある主婦が夫の転勤先で偶然昔の同級生に会い、彼の家に遊びに行ったことを機に始まる。その家は変な音が聞こえたり、あちこちに砂があったり・・・。
砂!
掃除していないとかそういうレベルではなくそこかしこに散らばる砂。もはや不気味な雰囲気です。
並行してこの家を昔から知っている青年の話が進む。彼は砂が「ザリザリ」といいながら脳を侵蝕する異常症状を起こし、仕事もできず、犬と散歩するくらいしかできないの生活をしている。
そんな彼の元に昔の同級生・比嘉琴子が登場する。彼らは昔あの家に関わったことがあり、一緒に行った他の同級生はすでに亡くなった。不運な数々の出来事は、あの家に関わったからと言う琴子の話から、彼は琴子と一緒に怪異に立ち向かうことを決心する。
という助走部分を経て、いよいよ家に侵入するシーンへと。ここからは息を呑む場面が多く、いやー怖かったです。と同時に、理解不能な出来事が起こったりと目が離せませんでした。
特に砂は怖いよ。本当に・・・。って、本当の怖さはそこじゃなく、この家に纏わる過去なんだろうけど(笑)あと、犬って頼りになるのね。霊は犬を嫌うのかしら?
後に知ったのですが、これはなにかシリーズものみたいですね。琴子さんのおいたちは本書で知ることがきますが、他の作品でどんな感じだったのか気になります。