風と共にゆとりぬ:朝井リョウ著のレビューです。
感想・あらすじ
物書き芸人?って思うほど面白男子・朝井リョウ
「朝井リョウ」━小説は未読ですが、その存在は知っていた。
サラリーマンをしながら作家活動をしていらっしゃることも、テレビで話しているお姿も拝見していた。
しかし、なかなか彼の作品をこれまで読まなかったのは、現代っ子・若者メインの小説なんだろうなーと言ったイメージがあったからかな。さらに「リョウ」と言うカタカナ名前が若者感あふれていて眩しすぎたのだ。
本書はエッセイ、しかもちょっとふざけたタイトルが気に入り、気軽に手に取ってしまったわけだが、ちょっとちょっとー、ナニコレ!しおんさんのエッセイ同様、声出し笑い連発ではないか!何がって「朝井リョウ」の行動すべてが、なんだかおもしろいぞ!
作家だから思慮深いとか、ちょっとウエットな部分もあるのかも・・・なんて思ってたけど、どちらかというと弟とか会社の後輩に居そうなちょっとおっちょこちょいな面白男子といったムード。一緒に飲みに行くというより食事をしながら会社の愚痴をアレコレ話しながら発散できそうな相手とでも言おうか。
とにもかくにも地味に楽しい人です(笑)
エッセイのエピソードはごくごく日常。
思いついてやっていることはちょっと変!
プチ事件を引き起こす毎日は笑ってしまうことばかり。
新発見は作家の柚木さんと朝井さんのコンビは意外というか二人のノリの良さとフットワークの軽さは最高です。作家とは思えないパフォーマンス力にあんぐり。でもこういう人たち好きです。
朝井さんは何かになりきることもお好きなようで、その演技力もなかなかのものだが、その力を発揮するシチュエーションがこれまた普通じゃない!
私が好きなのは「オトナへの第一歩」という、朝井さんが友達とした結婚披露宴のバイトの話だ。もう明らかになにかしでかしそうな職種、しかも初めてということで期待は高まる。案の定、押し寄せる笑いの波に呑み込まれた私でありました。
他、長編入院日記とでも言おうか。「肛門記」はとても辛くて痛そうな話なんだけど、笑える・・・いや、なんだかこっちまで肛門を意識しながら読書してしまうほど臨場感があるんだけど、笑えちゃうのは朝井さんのキャラならではなのだろう。とにもかくにも、手術まで漕ぎつけて良かったです。
ということで、朝井さん初読みでしたが、1冊読めば若者だのなんだの言っていたことをすっかり忘れ一気に距離が縮まった。
すでに会社の方は退職され、作家活動に専念されることにしたようですが、組織と言う枠から外れた頼りない感情の動きなども理解できるし、そういった感覚があるからこそ、良い意味でバランスが取れている方なのだろうと感じました。これまでの経験を糧にますます活躍して欲しいです。そして作家と言う仕事の水面下でますます色々なことにチャレンジを期待。
というか、もう一冊彼のエッセイを読まねば。
小説よりこっちが病みつきにりそうですが(笑)
文庫本