獣の奏者 4完結編 :上橋菜穂子著のレビューです。
感想 この結末が読めるなら4巻という長い道のりも無駄な時間にならない
この結末が読めるなら4巻という長い道のりも無駄な時間にならないというのが、私の大きな感想です。
決して生易しい話ではなかったけど、最後の最後のページを読み著者が描きたかったもの、強いメッセージが受け取れた気がします。
争うこと、武器を持つこと、それによって亡くなる命。そして、家族の絆。全体を通して常にこのテーマが流れていた「獣の奏者」という物語。
前巻から、もはやエリンたちが大きな渦に巻き込まれることは避けられない状況であることを感じ、それを背負いながらいよいよ完結編への扉が開く。
そこで私たちが見るものは、どこまでも残酷で、目を覆いたくなるシーンと、家族への愛・絆である。
「いつまでも変わらずに続く幸せというものを、信じないようになりました。むしろ、いつかやってくるであろう不幸にそなえながら、生きてきたんです」
エリンの人生はずっとそうだった。ずっと厳しい道のりであった。でも、そんな運命から目をそらず、逃げもせず、模索しながらもしっかり前を向いてひたむきに挑み続けたエリン。
本来なら涙を流す場面も多かったのですが、なんだろう…。泣くのは違う、しっかりなさいとエリンに背中を叩かれているような、本の中のエリンに励まされるというようなことがたびたびありました。
エリンが歩んできた道のりを思うと、何もしていない自分が流しそうになる涙が、なんだか陳腐に思え恥ずかしくなるのです。
それほどのことを感じさせる、強さ、厳しさ、優しさをエリンは様々な場面で見せてきたのだと、ここにきて改めて実感しました。
王獣とのふれあい、束の間の家族との団欒。どれも印象深いシーンで、今、一枚一枚アルバムに収めながら書いている気分なのですが、やはり一番はエリンという人物に最後まで魅せられたことが大きい。
エリンが私の中にずっと息づいて離れなかった数カ月。この主人公は確実に私の中で大きな存在になり、そしてこれからもなにかの拍子に思い出す存在になることだろう。
「ファンタジー音痴」という言葉が解説に出てきたが、まさに私は「ファンタジー音痴」で、進んでこのジャンルを読まずにきました。なので、正直最後まで読み切れるか半信半疑だったのだけど、本書はそんな不安もものともせず最初からビュンビュンスピードを上げて読み続けられました。
こういうのがファンタジーなのか?それとも本書がその枠をすでに超えて万人に感動を与える素晴らしい作品なのか…と考えてみたが、そこはもうどうでもいいのか。でもひとつ言えることは、「ファンタジー音痴」の方にこそ、是非お薦めしたい。
そして、4巻はちょっと…と思っている方も、躊躇せず、思い立ったら読んでいただきたいなぁ…と、小声で強く推します。
最後に本書の素晴らしさをなかなか上手く伝え切れず、もどかしいという思いも記しておきます。
※シリーズ通して5つ☆ですよ!
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