うずまきぐ~るぐる 

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【レビュー】私の大阪八景:田辺聖子

 

 

私の大阪八景:田辺聖子著のレビューです。

私の大阪八景 (角川文庫)

私の大阪八景 (角川文庫)

 

 

 

◆前へ進むことに何よりも力を注いでいた時代と田辺聖子

 

 

田辺聖子さんの自伝的小説とのことで、
戦争前後の大阪の下町の人々を描いたもの。


時代が時代なだけに暗い雰囲気の小説かな?と

最初は思ったのだけれども、読み終わってみると不思議と

当時の日本人の活き活きとした姿が強く残った。

 

今の日本よりもずっと苦労が多かった時代なのに、
人々の力が漲っていてキラキラした印象すらある。

 

もちろん戦争で亡くなった人、人種差別や男女同権など、
乗り越えなくてはならない数多くの課題や問題はあったものの
カラッとした雰囲気なのはお聖さんならでは。

 

この時期に少女から思春期を迎えた主人公。
ユーモラスを交えて当時の青春時代が描かれる。

 

物語は戦後になり、天皇陛下の梅田巡行を迎えるラストを迎える。
旗を振る興奮状態の人々。

やがてどこからともなく死者の声も混じり合う。

 

新しい時代に向かっていく華やかさの中に、切なくも悲しい
なんともいえない余韻を残す描写に心が沁みる。

 

戦後間もない頃、私たち日本人は皆前へ進むことに
何よりも力を注いでいた。ひとりひとりの気力が満ちた時
大きな光となって国が開けていくものなんだなーと思った。
今の日本ではなかなか見られない風景がこの本のなかにあった。

 

 

 

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