ルビンの壺が割れた:宿野 かほる著のレビューです。
☞読書ポイント
感想:話題先行型を読んでみた
新潮社の中瀬部長が話題にしていた1冊。
ちょうどTwitterでも多くのツイートがバンバン流れて来ていてこれはもう乗ってしまおうと、ミーハー気分で読んでみました。
現代版往復書簡とでも言おうか。「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」からはじまるメッセージはフェイスブック。相手はかつて恋人だった女性。
返事は要りませんと言いつつ女にメッセージを送り続ける男に不気味さを感じずにはいられない。そんな彼のメッセージにやがて彼女からの返事が来る。
そこから彼と彼女の過去に起きた出来事が徐々にあぶり出されてくる。青春時代に彼らがどのような時を過ごしたか、セピア色の写真を見ているかのような回顧シーンを頭の中に描きながら話は深くなっていくわけだが、後半は思いもよらぬギョッとする事実が次々判明する。
そのたびにクルクルと変わる登場人物たちの印象。そして結婚式に来なかった彼女の真意は・・・と、気になる要素を纏いながらラストへ向かう。
ひとつ言えることは、見てはいけないものは見ないように!他人の携帯やら日記は見てはならないってことね。見ていいことなんて絶対ないってことは教訓に(笑)
本書、最後のページが見せ場とのことだったが、正直私はこのラストあまりに稚拙で好きではない。もうちょっとなんとかならなかったのかな。
ということで、少なくとも本をたくさん読んでいる人にとってはかなり物足りなさを感じるはず。ドカーンと何かが来るのだろうと待ち構えていたのだけど、ズルっとずっこけた。まぁ1時間ちょいで読めてしまうわけだし、あまり期待せずにサクッと読むのにはいいかもしれないけど。
でもやっぱりラストのオチ?には、ため息がでてしまう。こういうのがやっぱり今風でウケルのかえ?話題先行型は要注意。宣伝勝ちだよなぁ~~
┐(´ー`)┌ ←本書を一文字で表すとしたらこんな感じです。
宿野 かほるプロフィール
2017(平成29)年、書き下ろし長編『ルビンの壺が割れた』でデビュー、世に驚きをもって迎えられる。翌年、AIをテーマとした二作目の小説『はるか(新潮文庫)』を出版。2021年9月現在に至るまでプロフィールを一切非公表とし、覆面作家として活動する。(新潮社HP著者プロフィールより)