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【レビュー】デンジャラス:桐野夏生

 

デンジャラス:桐野夏生著のレビューです。

デンジャラス

デンジャラス

 

 

 

 ◆谷崎家の人々は複雑な思いを秘めながらも

             涼しい顔をして暮らしている。

 

 

 

桐野さんがまさか谷崎のおっちゃん絡みの小説を書くとは思ってもいなかったので、
これは意表を突かれました。どうしてまた桐野さん、谷崎を書こうと思ったのだろう?

 

しかも「デンジャラス」ってタイトルがまた!
まぁ、おっちゃんは言うまでもなくデンジャラスですが、谷崎関係の本にカタカナ表題ってのも新鮮でして・・・。

 


本書は谷崎家に住む人たちの複雑な心模様を描いたものです。谷崎家に関してつまみ読みしてきた者にとっては、特にこれと言って目新しい内容ではないなぁと思うのです。

 

しかし、いくら既知のことでも、それは情報でしかなかったわけで、会話付きで個々の感情に向き合えるのは、こういった小説ならではの利点であり非常に面白い。

 

 

 


重子、松子、千萬子。
もう、おっちゃんってば、近くに居る女性を好きになりすぎなんだから!
しかも、好きになったら妻が居ようと一緒に住みたがるからたちが悪い。

 


彼女たちの気持ちを巻き込みながらおっちゃん王国が膨れ上がる。
そして、女性たちはおっちゃんの気持ちに翻弄されまくるのである。

 


谷崎の妻である松子とその妹の重子とおっちゃんという三角関係。
からの・・・・千萬子が登場したことにより四角関係へと。

 


作品に自分らしき人物が登場することに一喜一憂する彼女たち。
作品に登場するかしないかは、谷崎の心が誰に向いてるのか知る
バロメーターかのごとく彼女たちは新作に注目している。

 


谷崎が自分のことをどう見ているのか?
作品に出てくる女性を自分たちに見立て、谷崎の心の裡を知るということで余計に楽しいらしいのだが、時にそれが嫉妬の対象になったりするから怖しい。

 

一方、別居した千萬子に、手が痛いのにコソコソ手紙を書き綴っている谷崎が滑稽でならない。文通のようにマメに手紙を書き続ける姿は乙女か!とツッコミを入れたくなる。その手紙を出しに行く女中が中を透かして見てるっていうのもまた滑稽で!

 

重子の目を通して語られる谷崎家の日々は、
各々がなかなか複雑な思いを秘めているにも関わらず平静を装い過ごしている。

 

ちょっと陰湿な感じがしないでもない桐野さんの描く谷崎家。
特に松子の連れ子に対する谷崎の気持ちは結構冷淡だったのだなぁと。

 

自分が思い描く谷崎家はもう少しお気楽で、なんやかんや言いながらも美味しいもの食べて、贅沢して、おっちゃんが訳わからん変態っぷりを晒したり我儘言いながらも結構楽しそうやん!ってイメージなんですけどね。しかしまぁ何と言っても谷崎家自体ネタが多く、どの人も主人公になれるという家族ですな。

 


桐野作品特有のピリッとしたものはあまり感じられなかったけれども、夏のソーメンみたいにツルツル~~と読んじゃいました。

 

※谷崎氏に親しみを込めて「おっちゃん」と呼ばせてもらっています。

 

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