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【レビュー】纏足―9センチの足の女の一生:馮驥才

 

 

纏足―9センチの足の女の一生:馮驥才著のレビューです。

纏足―9センチの足の女の一生 (小学館文庫)

纏足―9センチの足の女の一生 (小学館文庫)

 

 

 

女性の人生をも左右する「纏足」を知る

 

 

纏足に関して興味はあるものの、一体どんな女性達が、

どんな目的でしているのかは、まるで知りませんでした。

 

この物語を読んでみて、とにかく多くを学ぶことが出来ました。

 

舞台は清朝末期、天津。
両親のない香蓮という一人の少女は、祖母に育てられます。

纏足の名手だった祖母にこの少女は纏足をさせられるところから

話ははじまります。

 

一般に纏足は3-4歳の骨の柔らかい時期に行われ、

全て女性たちの手で行われます。


足の指を折り曲げて、布できつく縛られるシーンの残酷さ・

激しさにはただただ驚くばかり。

ちょっと具合が悪くなりそうな壮絶な場面でした。

 

なにゆえ、こんな辛い思いを

少女期しなければならない風習があるのか?

 

 

 

小足になることによって身分が低い者であっても、

良い所に嫁げるといったこともあり、子供の親や祖母などは、

心を鬼にして行うのです。


たった9センチの足。歩くことすらままならい不自由な生活…。

そんな女性たちの苦労とは対照的にお金持ちの男性達はこぞって

纏足の秘技を語り自分たちの自慢の妻の小足を競い合うのです。
今で言う「究極の足フェチ」とでも言いましょうか。

 

この話の主人公の香蓮もお婆さんの望み通り、大富豪の主人に

見初められ、長男の嫁として嫁ぐことに成功します。

 

しかし、その家族の中でも一番の纏足を持った者が一家を支配できる

という過酷な状況。どこまでも纏足と切っても切れない生活を送る

ことになるのです。

 

やがて時代も変わり、纏足を廃止する動きが出てくるのです。
そこで、纏足派に対抗した「自然足」を推進した女性の存在が

この物語の大きな要となりクライマックスへ向かいます。

大変せつない内容です。

 

本書は物語としても読み応えがありますが

この風習と時代背景がよく解る内容になっていて、

刺激は強かったですが、読んで良かったなぁと今は思います。

 

纏足の靴が大変美しいものであることばかりに目がいっていましたが、
その裏には女性達の纏足との関わりがどれだけ深く

人生を左右するものであったか…
この部分を学べたことは自分にはとても大きかったです。

 

ちょっと靴ずれしただけで、キャーキャー言ってしまう自分。
足の窮屈さや痛みは本当に何もかもやる気をなくしてしまうほど

なんですよね。


そう考えると比較するのもなんですが、

当時の女性達の苦しみはどれだけのものだったのか。

 

理想的な纏足は「三寸金蓮」と言って、約9センチ…
やはりあり得ないなぁ…と思うのです。

 

※本書は中国で大反響を呼んだ『三寸金蓮』が文庫化されたもの。