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【レビュー】欲しがりません勝つまでは:田辺聖子

欲しがりません勝つまでは:田辺聖子著のレビューです。

([た]1-5)欲しがりません勝つまでは (ポプラ文庫)

([た]1-5)欲しがりません勝つまでは (ポプラ文庫)

 

 

 

子供たちが欲しいものや、見たいものを諦めなくてはならなかった時代と田辺聖子

 

戦前、戦中に田辺さんは思春期真っ只中。
13歳から17歳にかけての生活を描いたもので、まさに「少女の友」の世界が広がっています。

 

吉屋伸子さんをはじめ中原淳一さんに憧れ、田辺さん自身も小説を書くようになる。作品を熟読しては影響され、真似て自分でも書いてみる。その「なりきりぶり」がとても愛らしい。そんな作品の数々が奇跡的に残っているのですが、どれこれもビックリするくらい本格的なのです。

 

現在の田辺さんのほんわかした男女を描いた作品とは違い、イギリス軍をスパイするドイツ人の話などそのギャップが楽しめます。

 

田辺さんのご実家は写真館を営んでいた。
お父さんも、お母さんも、この時代の方のわりには子育てものびのびといった雰囲気で、会話からも戦時中とは思えないほど、あっけらかんとした言葉を使い自由に話している。田辺さんの進学ひとつとっても、本人の自由を重視していた様子です。

 

やがて、国内情勢も悪くなってくるわけだが、田辺さんはお友達数名と「少女の友」を真似て「少女草(おとめぐさ)」という本を作り、クラスで回覧させるという「雑誌ごっこ」に夢中になる。装丁の絵も田辺さんの手書きで、本当によく出来ているのです。お友達の書いたものに関して田辺さんの評価がかなり辛口でそこがまた面白い。

 

戦争中の話もかなり臨場感のある内容です。
夏休みの終わる頃「少女の友」から中原淳一の絵が消えた。とあります。

 

好きなものでも、大きな戦争のために自分たちの望みもお国に捧げましょう


と先生に言われ子供たちもそれに納得したという。田辺さんがこの本を残したかったことのひとつは、大人たちの苦労は書かれるけど、子供たちがこんな目に遭った、欲しいもの、見たいもの諦めた…そういうささやかな事実を書きたかったそうである。

 

田辺さんにとってはそれが「少女の友」や、たくさんの本であったのでしょう。この時代の少女達の学校生活を感じながら、「田辺聖子」の書くことへの底知れぬパワーと天性の物書きということを深く感じた1冊でした。

 

そして、現在の田辺聖子さんの作品がこんなにも平和な内容が多くなったことの過去には「戦争」という時代があったという時の流れが感じとれます。

 

 

 

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