◆作家と一日:吉田修一著のレビューです。
『悪人』『横道世之介』『怒り』等、数々の人気作品を
世に送り出す吉田修一さん。
ANAグループ機内誌『翼の王国』の人気連載「空の冒険」で掲載されたもの
を集めたエッセイ。機内誌だけに気軽に読める内容のものが多い。
独身生活を謳歌しているなーと思える旅や仲間たちとの
楽しいエピソードの数々。
「ポルトガルビーチでパトカーに乗る」という話は災難ではあったけど、
まるで学生時代のひとコマを見ているようなほろ苦い思い出話を
聞いているよう。
もちろん、吉田さんはもう大人ではありますが。
がっつり観光する楽しさもあれば、ホテルでのんびりする楽しさもある。
吉田さんのスタイルが後者。
本書を読んでいると何もしない旅をしたくなる。
ほんのちょっとだけ現実が欠けるような体験をしに・・・。
◆靖子の夢:光浦靖子著のレビューです。
「ばあさんになったら、沖縄でブローチを売って
暮らしたいのです。」という光浦さん。
趣味で羊毛フェルトのブローチを作っているのですが、
そのクオリティの高さにはビックリ。
本書でその本領が発揮された作品がたくさん載っています。
カワイイものから不思議なものまで種類も豊富!
中でもツボだったのは草野仁さんにプレゼントとして作った
「仁くん人形」はそっくり!
それを貰った草野さんの優しい反応と、極楽とんぼの
加藤さんが同じくプレゼントされた時にとった反応の
違いが面白い。
手作りって貰って嬉しいか否かは人それぞれ。
本書では受け取り側の反応の違いも見物です。
ブローチに向ける愛情がたっぷり詰まった一冊は
沖縄の空気感も同時に楽しめました。