曽根崎心中:角田光代著のレビューです。
◆古典文学が身近になる本
原作・近松門左衛門、歌舞伎や浄瑠璃で有名な話です。
作品名だけはかなりの方がご存知でしょうが 内容を
知っている人は意外に少ないのではないでしょうか?
私にとって古典文学はどうしても苦手・読みづらい存在で
あったのですが、このように現代風にアレンジしていただくと
とても身近な文学のように感じられます。
女たちのかしましい話し声や教えなどは本当に面白く
例えば…
いつまでも ぐずぐず飲んでいる男、酒に飲まれる男、
遊女の話を本気にする男、銀(かね)払いの悪い男などは田舎者で嫌い
など、夜のシーンで同じようなことを今日も
女性たちがつぶやいているなぁと、思わずクスッと
笑ってしまうこともしばしば。
一途な恋の話で行き着くところも予想通り展開していきますが
個人的には 恋や愛などの場面より、遊女たちの噂話や言葉が
とても魅力的に感じられました。
このように現代小説を読む感覚で古典文学に触れられ、
その面白さが解る本がどんどん出てくれば良いなと思います。