トコとミコ:山口 恵以子著のレビューです。
伯爵家の令嬢と、使用人の娘の生涯もの
伯爵家ものの大河ロマンということで飛びついた(笑)約90年、激動の時代の中に生きた二人の女性の生涯を描いたものです。
六苑伯爵家の令嬢・燈子と、使用人の娘、美桜子。二人の間には身分の差はあるものの、幼いころから共に過ごしてきた仲であるだけにその距離もかなり近い。
生粋のお嬢様気質の燈子と常に上昇気質の美桜子。まったく性格の違う二人はやがて時代の波に飲み込まれるように状況が刻々と変化してゆく。
お互い支え合い、助け合い…一見そんな風に感じられる関係ではあるが、そのうち嫉妬による裏切りなど、それなりの山あり谷ありの設定で楽しめる要素はあるのですが、なんかスパイスがいま一つ足りなさを感じてしまった。そのせいか、個人的には中だるみ・・・でなかなか前に進まず状態で、読了まで結構な日数がかかってしまった。
興味深いのは、華族ってものは没落しようとも、庶民のそれとは違いあまり切迫感がないってこと。燈子はどんなときも、年老いても、ずっとお嬢様として生きているあたりが凄い。
バブルで土地を巻き上げられても、その土地代がまた莫大な財産になってゆくわけだから庶民とはやはり違うものがある。
ということで、後半は年老いた二人が再会するシーンなどがあり、それなりに感動はするのだけれども全体的な粗さがどうも気になった。
「なんか惜しい!」って気持ちになってしまうんですよね。この方面の小説をよく読む方にとっては物足りないかも?次作に期待です。





