淳之介さんのこと: 宮城まり子著のレビューです。
☞読書ポイント
【感想】淳之介さんって人は…
淳之介さんのこと…このタイトルから、とても個人的なことが書かれているんだろうなぁーと、興味本位で読んだ本。
吉行淳之介も宮城まり子も、そんなに知っているわけではなかったが、作家と女優という組み合わせ、そして本妻ではないのに…という状況から、これはもしや「暴露本」か?なんて思ったりもした。
しかし乗っけから「これはこれはご馳走さま!」と言いたくなるほどの甘い関係ということが伺える文章が飛び込んで来た。
コウモリ傘をさし歩きながら、
細い彼の指が私の手をくるっとまるめて、コートのポケットに入れてくれた。
5ページ目にしてこれだ。
いいなぁーこのシーン。幸せの温度が伝わってきて、心が弾みます。
読み進めて行くと淳之介の持病の多さにはびっくりさせられる。
喘息、アトピー、躁・鬱、その他、調子の良い日と悪い日の差が激しく、「死」を常に意識せざるを得ない日常にまり子も付き合い、その恐怖と戦っていた。
また、本妻との間にいた娘がある日家出して来て住みついてしまったり、淳之介の実母とまり子の関係が非常に良かったりと、ちょっと普通ではあまりないような人間関係が形成されていくのも、かなり変わっていると言えば変わっている。
そんな生活をしながら恋が37年間続く。ずっと「恋」という雰囲気なんです。
まり子はとにかくずっと、淳之介さん、淳之介さん…なのである。
そして、「まりちゃん…」と言い残し亡くなった淳之介。
どちらにとってもこんなにも気が合って、一緒に居られたんですもの。
幸せですよね。
しかし、どうしても私の中で淳之介が亡くなるまで離婚をしなかった本妻の存在が気になって仕方がない。そこで、調べてみたら本妻の文枝も淳之介との暮らしを書いたエッセイ「淳之介の背中」を出版している。
そしてさらに驚いたことにもうひとりの愛人、大塚英子も「「暗室」のなかで」を出版。うわぁ、これも読まなきゃ!(ミーハー魂炸裂!)
しかしまぁ、本妻、愛人たちに思い出を書かせてしまうこの淳之介という男性の凄さ。そして胸に秘めておくことを選ばなかった3人の女性達の気持ちの強さに驚きます。
んー淳之介の何がどう魅力的なのかこの本だけでは見出せなかったのですが、なんとなくこの男性は一度近づいたら危険そう…と言う感じは肌で感じる部分があった。何がどうって言葉に出来ないんだけど。…と、私まで「淳之介さんのこと」を語りはじめてどーする!
【つなぐ本】本は本をつれて来る
中村メイコさんと吉行淳之介との交流関係も有名。「初恋の人」と、メイコさんご自身も著書やテレビでお話しされていることが多い。そんなメイコさんは宮城さんの目にはどう映っていたのでしょうか。本書から面白い関係性が見えて来る。
まぁ~~出て来る出て来る。淳之介がどのくらいモテモテの人生だったか。淳之介まわりの女性たちの本を読んでまとめた記事です。