Web Analytics Made Easy - StatCounter

うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】パンゲア5:朝香式

 

 

 パンゲア5:朝香式著のレビューです。

パンゲア5

パンゲア5

 

 

 

 その時、その時の選択の向こう側へ

 

「マンガ肉と僕」が想像以上に楽しかった記憶がずっと残っていたせいか、次作がいつ出るのか、今か今かと待ち構えていました。

 

そして目にしたタイトル「パンゲア5」。

何それ?まったく内容が掴めないタイトルにちょっとした不安と

何かが起こりそうな期待を胸に早速読んでみる。

 

話は大学時代に〈五大陸〉という名の喫茶店で出合った男女五人のその後を追った内容。

 

ある事件をきっかけに5人の関係は崩れ、いつしか疎遠になったわけだが、その中のひとり、石丸蓮太がテレビで偶然、行方が不明になっていた大和田道を発見。なんと道は命懸けの荒行を成し遂げた大阿闍梨となって生きていた。

 

どうして僧になったのか?なぜ何も言わずにみんなの元から去ってしまったのか?連太は道に会いに行くことを決断する。

 

そしてあの頃一緒にいた他の3人にも声をかけ、個々の過去と現在を行ったり来たりしながら、物語は進む。

 

最初はどこがどう結びついているのか先が見えなかったのですが、人々の関係性や、当時、何が起きていたのかが明らかになって来ると面白さにエンジンがかかってゆく感じでした。

 

この小説の核になっていたのは、その時、その時の選択ということについて。なんであんな不思議な選択をあのときしたのだろう。迷って迷って泣きながらした選択もあれば、秒速に選択されたものもある。選択には正しいも誤りも上も下もないということ。

 

なにげなく軽快に流れる雰囲気を持つ朝香さんの小説ではあるけれど、要所要所、相当深く考えさせられる内容も含まれ読み終わる頃にはズシッと心に刺さって来るものがあった。

 

バラバラになっていたものが再び形を変えて集まって来る。

そんな様子がラストで窺え、清々しい気分で読了。

 

「マンガ肉と僕」のようなパンチが効いたものとまた違った面白さがあった2作目。さぁ・・次も益々楽しみになってきました。