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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】レオナール・フジタ―私のパリ、私のアトリエ :ポーラ美術館

 

 

レオナール・フジタ―私のパリ、私のアトリエ :ポーラ美術館のレビューです。

 

レオナール・フジタ―私のパリ、私のアトリエ

レオナール・フジタ―私のパリ、私のアトリエ

  • 発売日: 2011/03/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

15センチ四方の中にいる子供たち

 

フジタ作品を66点収蔵しているというポーラ美術館。
日本最大級のコレクションだそうです。
本書はそのポーラ美術館監修の一冊。

 

3つの章で構成されています。

Ⅰモンパルナスのフジタ ──「素晴らしき乳白色」の誕生
Ⅱアトリエのフジタ ──空想への旅
Ⅲ小さな職人たち ──パリへの讃歌

 

「小さな職人たち」狙いで借りてきました。
というのも、「美の巨人たち」で取り上げられていて、小さな正方形の世界に魅力を感じ、ほかにどんな絵があるのか気になって、気になって。
(実は番組自体、ながら状態でちゃんと見てなかったから余計にねぇ)

 

すでにご存じの方も多いと思いますが、「小さな職人たち」は15センチ四方の大きさで、ファイバーボードに油彩で描かれた絵は200枚以上。アトリエの壁一面に飾られていたそうだ。1枚1枚増えていくのは楽しかっただろうな~。

 

当時の様々な職業が登場するのですが、それらすべて子供たちが主人公。
刃物を研いでいる女の子。難しい顔をしてトランプをめくるトランプ占い師の女の子。釣り師の男の子はいかつい顔でカエルを釣り上げている。

 

決して可愛いとか、愛らしいという顔(表情)ではない子供たち。
顔は大きいし、目はつりあがっている。首もないし、見ようによってはちょっと怖い。
でもなんでだろう、ユーモラスな感じがするのです。

 

これらを見ていると、当時の職業事情も見えてくる。
現代のネイリストはマニキュア師として登場。

ペディキュア師も別にいます。

 

その他、すみれ売り、管理人、御者、浮浪者など当時「プティ・メティエ」(しがない職業、職人仕事)と呼ばれ、パリの街角でよく見られた人々がフジタ氏の手によって子供たちの姿に変身して現れる。

 

プティ・メティエの人々を身近な存在と感じ、自分と重ね合わせながら描いたのであろうと思われる作品の数々。

 

フジタ氏と言えば、猫の絵という印象が強かったのですが、こちらの絵にも心惹かれるものが多かったです。

 

落ち着いたトーンの素敵な一冊で、特にフジタ氏の写真は最近撮ったものと言ってもいいくらい、ファッションもアトリエも新しい感じがするのが不思議で素敵でした。