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【レビュー】マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り :工藤隆雄

 

 

マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り :工藤隆雄著のレビューです。

 

マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り

マタギ奇談 狩人たちの奇妙な語り

  • 作者:工藤 隆雄
  • 発売日: 2016/09/16
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

一日三頭以内。クマは四頭獲ってはいけません。

 

以前「邂逅の森」を読んで、マタギの世界の変わった掟や仕事の厳しさを目の当たりにして圧倒された。また、自然の驚異や山を侮るととんでもないことが起こる等、不可解で検証しにくいものの恐ろしさを覗いた。

 

今でも「邂逅の森」の印象がとても強く残っているマタギ。
今回は実話集ということで、なにか知ってしまったらもう後戻りが出来ないような緊張感があった。

 

・歴史のはざまで
・マタギ伝説
・ 賢いクマ
・ 山の神の祟り
・不思議な自然
・人間の不思議な話

 

6章からなる話にはときどき写真も掲載されていて、
「わー実在するところなんだ・・・」と、臨場感も満載。

 

 

 

さて、やはりクマの話は引き付けられるものが多かった。スイカを抱えて人間が走るようにドタドタと逃げて行ったなんてちょっと笑える泥棒クマの話から、打ったマタギを覚えていて復讐しに来るというクマの話までアップダウンが激しい内容にドキドキ。

いやぁ・・・クマの粘着質な恨みはホント恐ろしいと改めて思い知るのです。

 

もう一つ、「山の祟り」関係の話も壮絶!
山の神さまの好きなもの・嫌いなものを抑えて置かないと痛い目に遭う。
「単なる迷信でしょ?」なんて軽い考えはここでは通用しない。

 

マタギが山へ入ることを突如中止することは多々あるそう。
例えば昨晩見た夢の内容ひとつで予定を変える。

 

一緒に行く人の人数が4人は死人となり縁起が悪いから、しかたなく人形を作りリュックにくくりつけ5人にするなど、些細なことにもきっちり対策を練る。

 

もしこれらのことを軽んじたらどうなるのか?
マタギは長年の経験から山の恐ろしさを心得、決して掟に背くようなことはしない。

 

「四つグマの祟り」は、そういった掟を破るとどうなるのか?
因果関係は解らないけれども、実際、こういうことが起こってしまうのか・・・という恐ろしい話でした。

 

深い山に入り込み、ひんやりとした時間を過ごして下山したような読後感。

 

欲張らず、山の神へ感謝の気持ちを忘れずに。
自分たちを律してきた歴史あるマタギたち。
改めて命がけで仕事をしているのだと感じずにはいられない。

 

 

 

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