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うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ワンダフル・ワールド:村山由佳

 

 

ワンダフル・ワールド:村山由佳著のレビューです。

 

 

ワンダフル・ワールド

ワンダフル・ワールド

  • 作者:村山 由佳
  • 発売日: 2016/03/22
  • メディア: 単行本
 

 

 

香り漂う5つの短編集

 

 

短編ということもあり、さっぱりした恋愛小説かな・・・

と思っていましたが、いやいや、そこはやはり村山さん。

短くとも濃厚な恋愛模様を次々と繰り広げてくれています。

 

しかも今回は「運命の出会いを彩る香りの物語」とのことで、
どの話からも香水だったりアロマだったり石鹸だったりと、
様々な香が登場し、話をより艶やかなものに。

 

「アンビバレンス」では独り暮らしの女性と相棒である

セキセイインコが登場。
そこに男性、つまり彼女の恋人(たち)が絡んでくる話なのですが、
恋の行方はこのセキセイインコが握っているといっても過言ではない。

 

恋人のペットをどう扱うか・・・。
どんなに好きな人でも、自分の大事にしているペットに対しての
振る舞いひとつで、気持ちが一気に冷めることもあるということが
よくわかる話でもあった。

 

「サンサーラ」では生まれつき心臓病を持つ犬とパニック障害の女性。
「TSUNAMI」では死がそこまで迫ってきている老猫と最期の時を過ごす女性。

17年間ともに過ごしたという愛猫との最期の時間の話は村山さんと飼い猫との
関係が見え隠れする。
だからなのか、ひとつひとつの言葉がとても真に迫るものがあり胸を締め付ける。

 

───どこまでも純度の高い執着。
───生と死を分かつ境界線は、人が思うほど太くない。
    死は、常に生のすぐそばにある。

 

ペットも生き物であり、どんどん年を取る。
少しずつ飼い主も最愛の相棒が居なくなってしまうことを考えはじめ、
それなりの覚悟をするものの、その「恐怖」からは決して逃げられない。

 

ペットとの別れを経験した者にとってはその心境が自分の経験と重なり、
より一層切ないものになる。

 

恋愛小説がメインでありながら印象に残ったのは動物絡みのものだった。
もちろん恋愛小説としても十分楽しめるのですが、そちらはちょっと
バブリーな時代を引きずっている感が。口調とか振る舞いだとかが、
ひと昔前の男女っぽい。

 

余談になりますが村山さんに関してはツイッターを見すぎちゃったかな。
四季折々の軽井沢での生活が見られて楽しいのですが、恋人?と

一緒の話題が意外にも多いせいかどうしてもご本人の現在の恋愛と

作品が生々しくかぶって見えて来てしまう。

 

作家自身のリアルな恋愛情報をなんとなく知ってしまうことは、
読書する上で(特に恋愛もの)意外にも影響力は大きいなぁと感じます。
関連付けしないボタンをオフにして読むのは結構難しいのだなぁと、
余計なことまであれこれ考えてしまった。