のろのろ歩け:中島京子著のレビューです。
慢慢走 忙しいあなたに伝えたくなる言葉と旅
中国語 慢慢走(マンマン・ゾウ)直訳だと、のろのろ歩け、のんびり行けや。という意味らしい。登場人物の青年が言うには英語でいう「テイク・ケア」のような感じと言っています。
北京、上海、台湾を訪れた3人の女性たちそれぞれが、これらの場所を舞台にし、出会った人々を通し様々なことを感じ取って行くという短編が3つ収められています。
一話目は、中国で雑誌の創刊準備のため仕事で派遣された女性。
二話目は、主人の仕事で駐在員の妻としてやってきた女性。
三話目は、亡くなった母親の言葉を頼りに3人のおじさんに会いに台湾を訪れる女性。
3つの話に共通することは、現地を案内する青年が登場すること。この青年たちが案内してくれる場所や人との関わり、会話が鍵となって読者ともども、色々なことに気づかされていく。
これという強い確信めいたこととかじゃなくて、根拠はないけど明日からやって行けそう、生きていける…といった爽やかな風が吹き抜ける感じの気づきに近い。
街の描写がよく描かれているせいか、アジア独特の夜の喧騒が聞こえてきそうな錯覚が何度もした。こんなことでも、胸がキュンキュンと来るもんなんだなぁーと。なんだかとってもそんな風景が見たくなってくる。
中国はオリンピックを機にめまぐるしく発展していきましたが、冒頭で書いたのんびりした雰囲気の意味を持つ挨拶を人々が交わしいるというシーンが出て来ると母国でもないのに変わらないものの安心感に包まれる。
中島さんの作品は「温故知新」的な雰囲気があり、私はとても気に入っているのですが、今回は舞台が海外へ向いたものの、しっかりそのあたりも表現されています。中国という地はそれを示すのに、最強の地であるのではないかと感じました。
本書を読むと確実に旅に出たくなります。日ごろの疲れを、異国の料理で解消するもよし。美しい景色を見て癒されるもよし。聞き慣れない言語の中に埋もれてみるのもよし。
慢慢走と言い合いながら、そんな旅をいつか!





