小さい僧の物語:瀬戸内寂聴著のレビューです。
お地蔵さんってお茶目で意外にアクティブ!
私の生活圏内で、お地蔵さんの存在は見かけないものになってしまったけど、
それでも「お地蔵さん」と言えば、明確な姿形が浮かぶのは
やはり、昔どこかで何度も見かけていた残像なのだろうと思っている。
そんななかなか出会えなくなってしまった
20のお地蔵さんのお話をコンパクトに収めた本。
「笠地蔵」の話をはじめ、ここに出て来るお話は
どれも素朴だけどお地蔵さんが残すちょっとしたできごとに
気持ちが休まり、ホットカーペットの上でうたた寝しちゃうような
ほっこりした気分になれるものが多い。
笠地蔵は本当にお茶目で、ずっと読んでいたいほど良い話。
「山椒大夫」の話は、こうして大人になってから読んでみると
あーそう言えば、お地蔵さんがここにも出て来てたんだなぁ…と、
寂聴さんの分かりやすい文章で再読出来て楽しかったです。
京都には地蔵盆という縁日があるそうです。
さすがお地蔵さんが多い町だけあって、人々とお地蔵さんの
結びつきの強さを感じます。
お地蔵さんがない町は、お寺などで借りてきてでも行う
というくらいだそうです。お菓子がもらえたりと、
子供たちにとって楽しいイベントなのでしょう。
赤い帽子や、赤いよだれかけをかけたお地蔵さん。
静かに佇んでいますけど、実はとってもアクティブじゃないの!と
そのギャップに私シビレました(笑)
そして、あとがきの方がおっしゃってるお地蔵さんと寂聴さんが
似ているという件。
時に優しく、時に厳しく、そして朗らかなお顔も…確かに、確かに…。