Web Analytics Made Easy - StatCounter

うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】箱庭旅団:朱川湊人

 

 

箱庭旅団:朱川湊人著のレビューです。

 

箱庭旅団

箱庭旅団

  • 作者:朱川 湊人
  • 発売日: 2012/06/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

いつも聞こえるあの音が…

 

16編のショートストーリー。

例えば、毎日定時に聞こえるあの音。
人それぞれの生活パターンに組み込まれた音ってあると思うのです。


私の場合は、ご近所さんがアサイチにお庭に水をまくのですが、
その音が聞こえると、7時。あーそろそろ起きないと!って。

 

この16編で特に私が気に入ったのは「黄昏ラッパ」

町の誰もに愛されていた豆腐屋のコウジくん。
「プ~ハ~」と町に響き渡る懐かしい音。

 

そんな耳慣れた音がある日を境に聞けなくなる。
それはどういったことか…。

 

こんなちょっとどこにでもありそうな些細な出来事が、
朱川さんの魔法にかかると、独特な世界へ繋がっていきます。

 

正直、今回、前半は少し退屈な内容の話もあり、

残念なムードが自分の中に漂っていたのですが、

いやいや、中盤からみるみる本調子?というか、

あの不思議な感覚が次々感じられて、とうとう、この

「黄昏ラッパ」では、ジンワリ涙がこぼれてしまった。

 

ホラーとも、ミステリーともファンタジーともいえるけど、
怖さや謎がジャンル分けするほど凄いわけでもない。

 

けど、不思議だし温かい気持ちになったり、懐かしくなったりする。
レトロファンタジ―ってあるのかな?

 

ともかく、

いつも忘れていた何かを思い出させてくれる作家さんなのだ。

 

こんなちょっと他にない世界を見せてくれるシ朱川さんの作品。
これだから、止められない。