遊覧日記:武田百合子、武田花著のレビューです。
最強コンビで綴る遊覧日記
知りませんでした、こんなすばらしいコンビで作られた本があったことを。
最近ハマっている花さんの写真と、以前からファンの百合子さんのエッセイ。
大好きなお二人が一緒に作った本が読めるなんて!!
最強!最高!!・・・と、
読む前からすでに5つ星なんですけど・・・(笑)
御主人を亡くした百合子さんがゴム底の靴を履き、自由気ままに行きたい場所へ出向いてゆくというまさに「遊覧」という言葉がしっくり来る内容。
一人で遊覧する時もあれば、花さんをお伴に出かける時もある。浅草、青山、代々木公園、隅田川 上野、京都・・・等々、そこで見て感じたことを、率直な語り口調で綴ってゆく。
合間合間に花さんの写したちょっと錆びついた雰囲気のモノクロの写真たちが、エピソードに旨みを加える。
地下鉄銀座線に延々と乗って終点に着き、
アンモニア臭い水が、しじゅう、ぴたぴたしている。
黒いしみだらけの地下道をぬけて、浅草の町の地上へ
出たとたんに、私はお祭りにきた気分となる。
視覚だけでなく嗅覚までも刺激され、まるで一緒に歩いているかのような臨場感溢れる文章に、浅草の情景が見る見る広がってゆく。
そして地上では甘栗や焼きそば、蒲焼等々様々な食べ物の匂いが漂う文章が私を誘う。
平日の花屋敷、蚤の市で剥製を売る店、入場料一人五百円の藪塚ヘビセンター、
隅田川のお花見等々心惹かれる場所が多く登場し、願わくは、当時のその風景を、その空気感をぜひ自分の目で見たかったなぁ・・・と。
この空間から離れたくなくて読み終わったあと、また最初のページに戻って読み始めた自分がいた。この本は何度開いても新鮮なトキメキを与えてくれる。
そして花子さんの写真は言うまでもなく、エッセイに静かに寄り添い、絶妙な色を添えている。





