ボヴァリー夫人 :フローベール / 姫野カオルコ著のレビューです。
心身ともにナイロンのように燃え上がるボヴァリー夫人
「明日は舞踏会」で登場した「ボヴァリー夫人」。
どんな小説か気になっていたところ、
「文学の興味を30分で高める、現代作家がリトールドした傑作」
という本書を見つけた。
まさに30分もあれば読めてしまいます。絵本とも言えますが、
内容はどう考えても大人の読み物です。挿し絵もとても
色彩鮮やかでエロチック。
さて、このボヴァリー夫人ことエマは医者と結婚するが、
やがて、平凡な毎日に辟易とする。変化が欲しくて理想の人と
結婚したはずだったが…「ダサイ人・たいくつな人」と
夫のことを思い始めます。
そして、ある日、たまたま出かけた舞踏会を機に、転げ落ちるように
不倫に買い物依存症にと走り、心の穴を埋めようとしますが…。
最後にボヴァリー夫人が出た行動に、思わず「ジャヤジャーン」という
ピアノの効果音が流れてしまったほど衝撃的であった。
地味だけど、真面目で良い旦那さんなのにねぇ。
それだけじゃ満足しなかった彼女。そもそもの悲劇はそこから
始まっていたんですよね。
結末はともかく、現在でもこんな男女の悲劇はあちこちで
繰り広げられているはず。
エマの心身は、ナイロンになっていた。
離婚直後やフラれた直後、よく人の心身はナイロンになる。
発火しやすい。
ナイロンと火。なんと分りやすい例えなんでしょう。
失恋や離婚後、メラメラ燃えるが如く次の恋に突っ走っている
人居ますよね~。
さて、フローベールのボリュームある作品もその後読み比べてみました。
本書がいかにポイントを押さえて書かれているか…
ということが改めて判りました。
興味はあるけどじっくり読んでいる時間がない方、翻訳本は苦手…
なんて方には特におすすめです。
あ、そういえば、千昌夫の唄がまんま出てきた。
いきなりの登場で、しばし言葉が出ませんでした(笑)