桃子:江國香織著のレビューです。
あまりに恋にのめり込むと…
あまりに恋にのめり込むと……魂までもどこかに抜かれてしまい……そして二度と戻って来られなくなるかもしれない……
そんな魂を抜かれたような恋愛をしたことがありますか?人は大なり小なり恋にのめり込む時期があると思います。
その時に見える景色、匂い、音、全てが今までとちょっと違うフィルターがかかったような世界になり、多幸感に包まれます。
しかし度を過ぎると、もしかしたらこのお話の世界のようなこともあるかも知れないよ。と、ゾワゾワとした気分させられるお話です。
19歳の修行僧と7歳の娘の恋。それは、一途でひたむきではあるのですが、どこか刹那的で、いつか消えてしまうだろうという危うさが付きまとっています。
やがて、この二人は二人で暮らしたいと願い出るがそれも叶わず、離ればなれになります。少女がお寺を去る時に、修行僧は本堂にこもり黙々とお経を唱えて居ますが、なっ、なんと…その修行僧の頭から…年取った僧が最後にこう語りかけます。
のう、お客人。人を恋するということはえらいことですわなぁ。ほんとうにえらいことですわ。
恋にうつつを抜かしている時、案外こんな光景が他人には見えているのかも知れません。やはり恋は人を狂わす何かが潜んでいるのかも…。
短いお話ですが、インパクトがあります。挿絵も色彩豊かで力強いです。





