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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】ランチに行きましょう:深沢潮

 

 

 ランチに行きましょう:深沢潮著のレビューです。

ランチに行きましょう (文芸書)

ランチに行きましょう (文芸書)

  • 作者:深沢 潮
  • 発売日: 2014/08/08
  • メディア: 単行本
 

 

 

あのママたちの笑顔の裏は・・・

 

 

「ランチに行きましょう」
ちょっと「うきっ」とする言葉なのに、人によってはこのランチがとても憂鬱であったり、怖いものであったりするもんだなぁ・・・と別の意味でゾワゾワした。

 

いわゆるママ友という世界を私は知らない。
結構大変な人間関係であるということはよく耳にするし、実際、ドラマや小説なんかで取り上げられていることも多いわけだが、イマイチ実感が湧かないのはやはり経験がないからだろう。

 

でも興味はある。
近所のスタバで、大きいテーブルに集まるママ友軍団を目撃する機会があったのだが、一体何を話しているのだろう?すごく楽しそうだけど、実際はそうでもないらしいし・・・

 

どこまでが現実的なのか結局本を読んでも分かるわけはないのだが、あのママたちの笑顔の裏にはひょっとして・・・・の「ひょっとして」の具体例を覗けたような感覚が残ります。

 

もしこれが現実に近い話ならば、もうママ友のお付き合いは、本当に複雑で大変そうなんですわ。

 

自分は関わらないぞ、一匹オオカミで居ようと思ったってそうはいかない。親たちの関係性はそのまま子供にまで影響してしまうから、自分の気持ちひとつで抜け出すことなど出来るわけではないのだ。

 

しかも昔と違って、スマホという道具でどこでも繋がってしまうという世界。
これがまた関係性を複雑にさせている。メールの世界だけならまだしも今のママ達はLineだものね。

 

 

 

本書は家庭環境がそれぞれ違う5人の女性達を描いた作品。
彼女たちは子供の幼稚園バスの停留所が同じママたち。

 

夫の浮気に悩む専業主婦の恵子。
バツイチの同僚との再婚に迷う働くシングルマザーの秋穂。
スピリチュアルの世界にのめり込んでいる千鶴。
子供のお受験に悩む由美。
俳優のおっかけをしている綾子。

 

5人が5人、本当に色々問題を抱えています。
性格もそれぞれだし、育ってきた環境も、価値観だって違う。そんな5人がランチをするようになり、やがて、個々の悩みや秘密を知ることにより、離れたり理解が深まったり。

 

ママ友って自ら作る関係というより、子供あってできる関係だから、当然、気が合う人ばかりではない。

 

けれども、ある程度お互いのことを知って打ち解けてしまえば、そこはもう女たちの居心地の良い関係でいられるのではないか?と感じました。入口は違っても出口は一緒的なね。

 

小説でもお互い心を開いたことによって女たちは団結してゆく。
同性の味方ほど心強いサポーターはいないと感じる。

 

ひとりひとり抱えている問題を細かく描き、徐々に皆が繋がり、一体感が生まれ出す感じがよかったデス。

 

個人的には恵子の夫の浮気疑惑の結末が好き。「夫の浮気疑惑」が止まらない恵子。
あれもこれも浮気しているのではないかと感じてしまう恵子のシーンと、夫が明かした事実とのギャップが面白かったです。

 

それにしてもスマホだ、PCだと、いろんな情報が安易に入るという便利な反面、人間関係がかえって複雑になってしまっているのも確か。知らないほうが良かったってことまで知ってしまう悲劇。いろんな意味で自らの匙加減が必要な世の中です。

 

ということで、深沢さんの小説、面白い!
昨年後半ハマって立て続けに読んでしまった。
人間観察好きな人にはいいんでないかな~。