Web Analytics Made Easy - StatCounter

うずまきぐ~るぐる 

*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【レビュー】秋の牢獄:恒川光太郎

 

 

 秋の牢獄:恒川光太郎著のレビューです。

 

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

秋の牢獄 (角川ホラー文庫)

 

 

 

毎日同じ日が繰り返される世界に迷い込み・・・

 

 

あ~もう今日が終わらなければいいのに!

あ~早く今日が終わってくれればいいのに!

 

今までどっちが多かったかな・・・。と、

答えが出そうにないことを考えてしまう。

 

永遠に終わらない日というものがあったら、

もちろん前者を選ぶだろうけど、そんな毎日の

繰り返しだったら自分はどうなるのだろう?

 

本書はある女子大生が11月7日水曜日という日を

何度も何度もずっと繰り返していると言う

その日に閉じ込められてしまったような話。

 

一晩寝て起きると、昨日と同じ日がはじまる。

学食で友達と話す内容も、食べているものも全て昨日と同じ。

 

幸いこの主人公のその日は、平穏な日だったわけだが、

これが最悪の一日だったらと思うとコワイですよねぇ。

 

しかし、この話の面白いところは、何をしたって、

一晩過ぎれば全てなかったことになる。

喧嘩したって、人を殺したって。

こうなると人はどんな行動を起こすのか?

 

やがて彼女は同じような現象の中にいる人々と出会う。

そして謎の北風伯爵の存在がまたまた深い謎を呼び起こす。

果たして、この1日の出口はあるのだろうか?

 

恒川さんの作品は、自然にぽっかり空いた空間に

気づいたら迷い込んでしまっているようなものが多い。

今回もその空間を登場人物たちと一緒に旅してきた

ような気分でした。

 

さて、冒頭の自分への問いかけですが、

本書を読んで思ったのは同じ繰り返すなら、

すごく楽しい日でも、すごくしんどい日でもなく、

案外、普通の一日が一番だと感じました。