魔利のひとりごと:森 茉莉, 佐野 洋子著のレビューです。
森茉莉、結構パンチ効いています!
いやいやいや~森茉莉さん、濃厚です。
森茉莉さんの作品は初読みなのですが、
いつも古本屋でパラパラ見てはいて、たっぷり字が
詰まっているといった印象。なので、ちょっと腰が
引けていたのですが、本書は佐野洋子さんの挿し絵と
一緒のエッセイだったので、入りやすそう~ということで
読んでみました。
文体がまず慣れるまでにちょっと時間がかかりました。
改行なしで、バーと2ページくらい軽く書き綴っているので
とにかく息苦しい!息継ぎしないでプールを泳いでいる
気分です。
そして、お父様同様、横文字多し。
育った環境や親の影響力とは凄いものだと、
ひとしきり思いながら読み続けました。
というわけで、文体のことをあれこれ考えて
読んでいたら、後半にさしかかっていました。
そこからようやく落ち着いて内容が見えてきたのですが、
これがなかなか率直で辛辣。パンチが効いています。
ご本人も自ら語っていますが、大変フランスが好きで、
茉莉さんの描く世界は常にヨーロッパの風が流れている
雰囲気があります。
石鹸の話などは「森茉莉」の生活をよく表したもので、
一般庶民のお嬢さんとはやはり違うな…と感じずに
はいられません。
幼少時代の「沐浴」の話から奥さん批判の「奥さんとお内儀さん」
の話まで、時に子供の気持ちになり、時に大人として批判を
撒き散らす…そんな時間を行ったり来たりしながら、
森茉莉の世界へどっぷりと浸かる。
きっとまだまだ序の口であろう。
森茉莉の世界はもっともっと奥深く、いくつも引き出しが
ありそうな…そんな気配を感じます。
これからが、本当の幕開け。
もう少し彼女のことが知りたくなりました。
そうそう、佐野さんのイラストも素晴らしいのですが、
文章の方が明らかにインパクトが強かったです。