イカ干しは日向の匂い:武田花著のレビューです。
感想 ただただ花さんの世界に浸る
武田花さんのエッセイ、3冊目です。
何冊読んだってそんなに感想が大きく変化するようなものはありません。
「ただただ花さんの世界に浸るというスタイルで読む」というところに辿りついています。
相変わらず、たくさんの猫たちと目を合わせ、寂れた田舎町を気の向くままに歩いて、
演歌を高らかに歌う女の声に足を止め、昼間の寂れた飲み屋街の看板を仰ぎ見て、また猫を見て・・・。
そんな写真たちをのんびりのんびり眺めながらわたしも一緒に旅をする。
そして、花さんのエッセイを読んでくすりと笑い、足を進める。
その繰り返しなんです。花さんの本は。
田舎町でそうそう面白い出来事があるわけもないだろうと思うわけだが、
花嫁を見たすぐあとに、葬式の行列に出くわすなど、都会ではあまり見られない光景に出合ったり、突如、インド旅行の強烈な話が登場したりと、エッセイの方はちょっとハラハラするシーンもあってそれがまた楽しかったりするのです。
ふらふら~っと、知らない町をひとまわりして、寒くなっってきたから、もう帰ろうか?いつでもそんな余韻を残すエッセイは、一日の疲れを取ってくれる魔法のお酒が、
ほんの少し含まれているような読み心地なのです。