バレエものがたり :アデル・ジェラス著のレビューです。
感想: 読むバレエの世界へようこそ!
子供のときの憧れのおけいこごとと言えば真っ先にバレエが思い浮かぶ。習っていた友達に基本形とか遊び半分で教わり、すごく楽しかった思い出があるにも関わらず、自分も・・・とならなかったのは、きっと自分には向かないという何かを感じ取っていたのでしょう。その嗅覚は正解だったわけだが(笑)
そんな憧れは憧れのままで大人になったわけですが、やはりこんな本を見つけると、あの優雅な世界にうっとりしてみたくなるんです。
本書は、「ジゼル」「コッペリア」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」「火の鳥」の6話が収録されています。
確か読んだはずなんだけどなぁ・・・という話も、すっかり忘れているものも多く、なかなか惹きこまれる内容のものばかり。
実際のバレエがこれらの話とどう絡み合ってひとつの舞台になっているのか、今すぐ観たいという気持ちにさせられます。
「白鳥の湖」のように、結末が実は2通りあるのだということなど興味深い話も訳者のあとがきで知りました。そういうことも「あり」なんですね。舞台をもし観ることに
なったら、どちらのラストなのだろう?と楽しみが増えます。
バレエって「天上の世界へ近づこうとするおどり」だそうです。上へ上へと目指し、地面との接点をギリギリまで減らした結果、トウシューズが生まれたんですって。
子供時代、私がバレエに憧れつつも、自分には向かないと肌で感じていたのは、もしかしたら、この浮遊感がちょっと怖かったのかもなぁ・・・とか、無理やり理由を考えてみたり・・・。
妖精やお姫さまの話が好きな大人におすすめしたくなる素敵な一冊でした。
ジェラス,アデル・プロフィール
1944~。イギリスの作家。パレスチナのエルサレムに生まれる。幼少期、父の仕事の都合でキプロス、ナイジェリア、ガンビアなどを転々とする。オックスフォード大学卒業。1976年『マンダビー夫人とお茶を』でデビュー。2000年に出版された『トロイ』が人気を博す