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*** 新しい本との出合いがきっとある★書評ブログ ****

【ブックレビュー】偽りの花園:中島丈博

 

 

 偽りの花園:中島丈博著のレビューです。

偽りの花園〈上〉

偽りの花園〈上〉

感想:もうぐっちゃぐっちゃだけれども最高!

(上下巻合わせてのレビューです)

ジャンクフードが無性に食べたくなるのと、このようなジャンルの本を無性に読みたくなるのとは、なにかどこか似ている。いつもは辛い、でもたまに無性に・・・ってやつです。

 

それもこれも「牡丹と薔薇」の再放送を見てしまったっていうのもあるのですが、昼ドラの愛憎劇、谷崎文学の影響もあって、普通の人間関係以上の激しい展開が癖になっているきらいがある。

 

で、ですね。この小説のあらすじを書こうとするのですが、あまりにめくるめく展開すぎて正直書けない!登場人物もやたら多い。何も書かないわけにはいかないので、ちょこっとだけ書いてみますが・・・。

 

主人公は矢作美禰子。彼女は矢作家近くの神社に捨てられていた娘で、早瀬川伯爵と元芸者・丹の娘・美琶子の乳姉妹として育てられる。ちなみに美琶子は自分が伯爵家の血筋とは知らずに矢作家に預けられている。(もうこの時点で複雑)

 

前半は美禰子の婚約者で海軍大学生の羽生くん争奪戦。美琶子の嫉妬や陰謀が渦巻いていて大混乱。しかも、荒らすだけ荒らして、美琶子と羽生は心中しちゃうのです。

 

ここで一息つけるかと思いきや、今度は美禰子が密かに丹の養女となり、やがて早瀬川伯爵家の家に入ることになる。(伯爵家は養女だとは知らない。あくまでも伯爵は実の子だと思って迎い入れる。)

 

そこからはあなたもう・・・・、家族総出でぐちゃぐちゃに人間関係がもめにもめ、荒れに荒れ~~!(↑すでにあらすじさえ書けない状態)という、ねっちりした設定、ねっちりした展開の繰り返しとでも言おうか・・・。

 

 

 

でも面白いんですよね~。時代的にも昭和初期で、レトロ感満載で乙女な雰囲気もあるし。また、結構な事件が起きたりするんですけど、わりとみんな切り替えが早いので、あっさり事が収束してたりで、読者がポツリとおいていかれる感もすごい。

 

「えー、いいのーそれで?」と、何度突っ込みをいれたくなったことか・・・。って思っても、物語はお構いなしにズンズン展開されてゆくのでボケボケしてはいられない。まるで鳴門海峡の渦潮の中に飲み込まれてゆくような気分で上巻終了。

 

息切れしながら下巻に向かうわたくし。

いろんなことが起こりすぎたからもうこれ以上は・・・と思っていたけど、下巻も登場人物さんたち、元気に暴れておりました。(上巻以上かも)

 

下巻も同じくめくるめく展開すぎて、あらすじなんて書けません。注目するとしたら、心中した美琶子が蘇るんです!もうまるでゾンビの世界。美禰子はまたもや美琶子の陰謀に翻弄され、ついに事件が起こる。

 

 

 

変な場面はとことん変で突っ走る、その凄さったら!

色々書こうと思うと貧血がおこりそうです。だれか一人ピックアップして書こうとすると、芋づる式にそのほかの人々のことも書かなければならなくなります。もうすでにへろへろです。書評になっていません・・・が、あともう少し。

 

この小説は「くっだらない」って言ってしまったらそれまでなんですけれど、個人的にはなかなかスゴイ作品だと感じました。人間関係をここまで複雑にして、愛憎に満ち満ちていてそして登場人物のやることなすことが強烈で。

 

例えば、妊娠したら変なものが食べたくなるってシーンひとつとっても、

長火鉢の中から、燃え残った炭のかけらを手に取り、がりがりと齧り始める。

変なものってそこーー?
もうホラー調なんですが、あくまでも真面目にサラリと描かれちゃってるんですよね。

 

ドラマにすると65話分。やはり1話につき1つは山場を・・・とテレビ的な配慮をして作るとこうなるのだろうと感じるのですが、小説だと1話の区切りがなく中断されずにズンズン進められるので、かなり激しいジェットコースターに乗っている気分になるのです。これはなかなか楽しい体験でした。

 

 

 

いやぁ・・こんなにもアップダウンの激しい小説って滅多に出合えない。こってり感てんこ盛り。そして、ラストへのつなげ方。読後感も悪くない。

いや、あり得ないでしょ? 
うそでしょ?
ちょっと待ってよ。 
マジか?
何この人? 
やだ・・・・
すげぇ・・・・

2冊通して、ずっとこんな感じでラストを迎えました。
今年読んだ中で谷崎と並ぶくらい濃ゆかったのです(笑)

 

※詳しいことは偽りの花園 (テレビドラマ) - Wikipediaに丸投げ。
登場人物の人数に注目!こんなにもいたんか~い!!(ちらっと私のお友だちも出演してたりするw)レビューを書くのが困難だったことを言い訳したくてリンクしました(笑)

 

偽りの花園〈上〉

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偽りの花園〈下〉

偽りの花園〈下〉

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